超短編詰め

褒め上手

　凛と冷えた空気を胸いっぱいに吸い込む。心がしゃっきりして、今日も一日頑張るぞって気持ちになる。標識とブロック塀の隙間のクモの巣には、朝露が引っかかっている。その雫は朝の光を受けて銀色にきらめく。

　いつもとたいして変わらないありふれた道にだって、探してみればきれいなものがたくさんある。ほら、このイチョウ並木だって。昨日と何が違うか分からないけど、特別あざやかに見えてくる。

　こんな風にささいな素敵を見つけられる私すごい。朝もちゃんと早起きできたし、メイクもした。お仕事にも余裕を持って向かえてる。私、えらい！

　ちょっぴりむなしいけど、頑張った自分をいちばん理解できるのは、自分しかいないでしょ？　だから、自分で自分をたくさん褒めてあげるの。

　誰かに褒めてもらうのが、いちばん嬉しい。でも思ったように評価されなかったとき、自分の努力がムダだったみたいな気分になる。結果とか成果はそれでいいけど、頑張ることは違うと思う。だから私は今日も自分を褒める。元気をチャージしてお仕事頑張るよ。