いつだって手遅れ

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いつだって手遅れ

 ボールが床に触れた瞬間。ベンチからの景色はスローモーションに見えた。コートに立つ先輩や僕のずっと先を行くあいつには、どんな風に見えただろう。思っていたよりも呆気なく、僕たちの挑戦は終わってしまった。  結果が伴わなかったとき、死ぬほど努力していたって後悔はしてしまうものだ。練習の中の一本のサーブ、レシーブ、スパイクにブロック。あとほんの少しずつ頑張れていたら、もっとみんなと戦えていただろうか。そんな考えが頭の中をぐちゃぐちゃとかき乱す。  冷静に考えれば僕たちが勝てなかった理由は簡単に分かる。そもそも死ぬほどの努力なんてできていなかった。最初から今日、ボールが落ちる瞬間まで、ずっと早見さんに頼りきりだった。  頭のどこかでそれを感じながらも、見て見ぬフリをしてきたツケが回ったんだ。確かに早見さんはものすごい人だ。でも、ひとりで勝てるわけがないのに。そんな当たり前のことさえ見失っていたんだ。  この世界に神様がいるかは分からない。でもちゃんと正しい努力をした人にはその分の成果を、そうでない人には相応の結果をもたらしてくれる。  世界は平等で、とても残酷だ。
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