そんなわけで異世界

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それから、数ヶ月の時間が流れました。 エリアーヌさんは分厚い魔道書の内容を一通り会得したようです。 「準備はどうかな?」 「一応、一通りは扱えるようになりましたが…。」 「…何か問題でも?」 「この魔道書の全てを扱うのには、魔力が足りないようです…。」 魔力…ねぇ。 身体的な成長と年数と重ねれば、そりゃあ魔力が付いてくるんだけども…。 今回はその成長は無しだからね。 「何かで代用すれば良いんじゃないか?」 「それはそうですが…この空間で魔力らしき気配は…。」 さて、どうするかねえ。 あくまでここは不遇な扱いを救済する場所だからね、あまり協力的に支援するのは…バランス的に面白くない。 「じゃあ、今回は秘められた力の解放とその力の扱い方を学んだので満足してくれないか?」 「今回は…?というと、次回もこの空間に来れるんですか?」 「んー…出来れば、一回限りにしたかったけど…せっかく不遇から脱したのに、あっという間に死なれるのは面白くないのでね。」 そう言って、エリアーヌさんの右手の甲にこの空間のアクセスキーを授けた。 このアクセスキーを所持している限り、この空間に出入りすることができるようになる。 「この光は…?」 「その光に魔力を込めれば、この空間から出られる。その逆も同じようにすれば、入れる。」 「これも救済措置みたいな物ですね?」 「ただし、無限には使えない。せいぜい十回が限度だろう。」 「ええっ!?」 あ、十回ってのはあくまで目安だよ。 本来的にいえば、このアクセスキーを使う際は所持者の魔力と寿命を吸いとって…ようやく開く物。 これが無限に使えるとなったら…この空間に常に入り浸れる状態になるから、堕落するんじゃなかろうか?
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