19人が本棚に入れています
本棚に追加
ふとそう考えて、ポケットからスマホを取り出した。気怠げに右手だけで検索してみると、それらしき花はあるようだ。
顔の横に落ちていた鮮やかな色の花を摘んで眺める。ティモールから届いたという花は思いの外元気だった。
(あいつ、本当に外国にいるのかしら)
封筒はよく見れば100円均一に売ってあるような無地のもの。外国から苦難を乗り越えて来たような汚れもない。
凛子は何気なく宛名面を見た。
「大阪、池田......」
郵便物の消印には日本の地名と、市のマスコットのウォンバットのイラストが載っていた。
凛子は口を開けっ放しにしてしばらく言葉を失っていたが、突然弾かれたように飛び起きて、今まで届いた三通の葉書をコルクボードからもぎ取った。
同一の消印であることを確認すると、凛子は呆然と床に座り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!