夫からのメッセージ

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夫からのメッセージ

「今どこにいますか?」 腰のあたりで、鈍く響くメッセージ音で目が覚めた。 腕を縄で拘束され身動きが取りにくい。 私は埃だらけの汚い部屋に転がされていた。 コートが真っ白に汚れていて、この部屋が何年も使われていないことは明白だった。 どうにかコートの中に隠れていたスマホを取り出す。 目の前のスマホの画面に表示されたそのメッセージは夫からだった。 さすがの夫も、私の異変に気付いたみたいで安堵する。 知らない部屋はコンクリートがむき出しで、ドアは一つしかなくピッタリと閉じていた。 耳を澄ますとドアの外から、声を潜めた誰かの声が聞こえる。 会話からわかったのは、私は廃れたビルの中にいるということ。 割れた窓から月だけが見えた。 周囲のビルよりは高いのか、無いのかも分からない。 現実離れした場所だと思った。 なのに、ミネラルウォーターの入ったペットボトルが転がっているのが妙にリアル。 スマホの画面は、メッセージが表示されては暗くなる。 私は、それをスマホの電源が切れるまで見つめていた。
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