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ガムテープを剥がし、パカっとフタを開けるとそこに入っていたのは魔除けグッズの数々……ではなく、怪しい色彩のいかがわしい形をした大人のおもちゃだった。
「……」
「いいぞ、好きなのもってって。むしろ全部やる」
「わかっててやらせましたね」
「あのおっさんの性格考えりゃこれくらいはわかるだろ」
小杉が地を這うような声で言えば明後日の方向を見てどこ吹く風の中嶋。しかもそんなタイミングで、『ただいま戻りましたー』と一華が戻ってきたものだから小杉が固まる。無言のまま静かに箱の蓋を閉めるがしっかり見られただろう。一華はというと口元は笑っているが目がどうしようと語っていた。
『いやまあ……綾さんのじゃないのは十分わかってますけど。一応聞きますけどそれは?』
小さな子供ではない為それが何に使うものなのかは一華にもわかっている。ただ事務所でそんなものを広げて見つめている二人の絵がとてつもなくシュールだったのだ。
すると小杉はニコリと笑い……ただしその笑顔がどこか恐ろしいのは気のせいではない……一華に言った。
「サトさん専用の魔除けグッズらしいよ。部屋に飾るんだって。頭おかしいよね」
『はあ……』
「はいはい、後で責任もって捨てておきますよ」
気にした様子もなく中嶋はため息をついて箱を持ち上げ自分のデスク脇に置く。一応、念のためちゃんとした魔除けなどないか見てみたもののそんな物は入っておらず、小さなメモに「丁度いいものが見つかりませんでした。ごめんサト君」というメッセージのみ。ないならないで一言そう連絡すればいいだけだというのに、送料千円以上かけてまで何故わざわざゴミを送ってくるのかと普段ならイラっとするところだが今日は完全に疲れ果て脱力した。
魔除けやお守りの類があまり手に入らないのはなんとなく想像がつく。おそらく一華に影響のない物を探すのに苦労しているのだろう。一華は悪霊ではないし何かおかしな影響を起こすわけでもないが、そういったアイテムはあまりその辺を区別せずすべてを追い払ってしまう。一華が中嶋に近づくことができなくなるような物では意味がないので、いろいろと探してくれているのだ。
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