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キャラクター表
名前 モードレッド・ウィルペンドラゴン
性別 男 (声役 男)
身長 190
詳細 30歳の長身イギリス人。超大手製薬会社ソード・グループの会長で、全世界に会社を持っている。過言の経歴が一切明かされておらず、謎の多いミステリアスな人物。イギリス王室の血を継いでいる。
名前 クラウディオ・リキュール
性別 男 (声役 男)
身長 185
詳細 モードレッドの側近であり、同い年の幼なじみ。モードレッドを影からバックアップしている。
名前 村雨刹那(ムラサメ セツナ)
性別 女 (声役 女)
身長 175(ヒール込み)
詳細 30歳のスレンダー美人。警視庁地下にある秘密組織「暗躍密謀課」の長。上級国民の尻拭いや、暗殺、国の敵となりうる物の排除をしている。誰に対しても敬語だが、プランEに計画が移行すると口調や雰囲気が変わる。
名前 天音飴(アマネ アメ)
性別 女 (声役 女)
身長145
詳細 暗躍密謀課に所属する村雨の部下。超ロリ体型だが、実年齢は24歳。言動がおっさん臭い所もあれば幼い所もある。常に村雨と行動を共にしている。
名前 瑞希騎士(ミズキ ナイト)
性別 男 (声役 男)
身長 180
詳細 暗躍密謀課の中で、村雨に忠誠を誓う者の1人。インテリメガネで、口調は敬語。理由は単純村雨の真似。年齢 23歳
名前 アーサー・ウィルペンドラゴン
性別 男 (声役 男)
身長 192
詳細 イギリスの本当の王であり、親戚を女王にし自分の存在を隠している。モードレッドの兄であり、2人にはただならぬ因縁がある。プライドが高く、好奇心旺盛で、他者を見下してるが、それ故に情緒が不安定。31歳。
名前 アデレード・アンセム
性別 女 (声役 女)
身長 171
詳細 王室機密護衛隊と呼ばれる、王室を守る護衛隊組織に所属している。起源を円卓の騎士とし、アーサーとドラゴンの名を持つ物の護衛をしている。コードネームはガヴェイン。
名前 アーロス・ウィンター
性別 男 (声役 男)
身長 184
詳細 王室機密護衛隊に所属し、アーサーの執事を務める。アデレードと共にアーサーの身の回りの世話等を行っており、アデレードはアーサーのメンタル管理、アーロスはアーサーのスケジュール管理を行っている。
モブ配役
菅山総理 クラウディオ役
記者 天音役
中村 アーロス
((モードレッド、アーサーは同役です。1人2役と言う事になります。))
アーサー「人の価値とは何で決まると思う?才能?努力?それとも金か?それとも地位か?……いいや、どれも違う。才能は生まれついてのものだ、価値はつけられん。努力とは成功の過程を表すものだ。それは美しい。だがそれは努力の価値であって、人の価値では無い。ならば金か?いいや、これも違う。金は価値を表すものであるが、そんなのは文化の副産物に過ぎない。ならば地位か?これもまた違う。地位とは運命的なものだ。産まれてからその人間がどこの地位に座るか決まっている。これも価値とは言えない。」
モードレッド「じゃあ、人の価値とは何だ?」
アーサー「器だ。モードレッド。器と言うのは、その人間の人生だ。器の中で満たされる、才能、努力、金、地位、それら全てが不均等に混ざりあって、綺麗に収まるものだ。分かるかモードレッド?余は産まれるべくして産まれ、王になるべくしてなった。1時間後に産まれて、銀髪を持って産まれて、ブルーアイで産まれて……貴様は生まれついて王の器を持ち合わせてなかったのだ。」
モードレッド(この血を呪った。この身体に流れる血は、今でも俺に悪夢を見せる。遥昔に朽ちた叛逆の騎士の血が、王の血が……)
N(羽田空港にて)
記者「午後3時40分、ついに御来光頂きました!イギリス王室女王!エリザベス3世殿下!我々に手を振っております!」
N(飛行機内部にて。)
アーサー「何時も思うのだ。何故余がわざわざ1日かけて出向いてやったのに、ここの下民共はパレードをしない?皆浮かれてるではないか、ネズミのオスメスのしょぼくれたパレードにカメラを向けて。」
アーロス「それは貴方が、隠されたイングランドの正統なる本物の王であることは、各国の最高官僚にしか知らされておりません。」
アーサー「黙れアロー、口を開くな。今の余は気がたっておる。」
アーロス「お気に触るような事を言ったなら申し訳ありません。ご容赦ください。」
アーサー「よろしい、余は寛大だ。故に許してやる。」
アデレード「王様は今日もご機嫌ななめかしら?あ、何飲んでるの?」
アーサー「……飲みたいか?」
アデレード「よろしいなら、一杯頂くわ。」
アーサー「すまん、手が滑って落としてしまった。ほら、飲め。」
アデレード「寛大な御心に感謝致します。……んッ、れぉ……んっ……」
アーサー「似やっているぞ。ちょうど良い、そのかしずいた体勢でじっとしてろ。動くのは許さん。」
アデレード「んっ!?……な、中々……美味いワインだこと。」
アーサー「口にあって何よりだ。……つまらんな、暇だ。アロー、豚を呼べ。わざわざ出向くのも面倒だ。日本にまで来てやったのだ、向かわせろ。」
アーロス「分かりました。」
N(村雨視点。)
村雨「こちら村雨、応答せよ。」
天音「こちらチワワ、どうした?」
瑞希「こちらシェパード、オーバー。」
村雨「飛行機の中から出て来ませんね。」
天音「何を言っている?女王ならもう正面玄関の方まで来たぞ。久しぶりの我がM99を引っ張り出したのに、不審者や怪しい者がおらん。」
村雨「そう言う事じゃなくて……一応、任務名は王室の警護なのですが……」
瑞希「どうしました?浮かない声色ですが……」
村雨「いや、なんか嫌な予感が……あ、もしもし。」
菅山総理「もしもし村雨君かね?悪いんだが、今回の任務は中止して王室専用の飛行機に乗ってくれ!」
村雨「ど、どうしました総理?そんなに切羽詰まって。」
菅山総理「と、とにかく急いで向かってくれ!君達には申し訳ないが、そのぉ〜……できるだけ金髪の男の機嫌はそこねないように!では頼んだよ!私も後で向かうからね!」
村雨「……金髪の男……情報には何の記載もありませんでしたが、まぁ良いでしょう。チワワ、シェパード、命令が出ました。今すぐ空港に戻って下さい。ユー・コピー?」
瑞希「アイ・コピー。」
天音「アイ・コピー。」
N(空港近くの建物内にて。)
クラウディオ「来日したな。どうだモル?5年ぶりの兄貴との再開だ。」
モードレッド「最悪だ。吐き気がする。うぷッ……すまん、吐いてくる。」
クラウディオ「末期だな。お前ら兄弟の兄の仲の悪さは。」
モードレッド「………………余計なお世話だ。今日こそアイツを殺す。」
クラウディオ「外国マフィアに、暗躍密謀課、そしてお前の兄貴か。俺達は敵が多いな。ところで、ミス・チゾメとミスター・ナルミはどうした?」
モードレッド「彼等なら置いて来た。今回の件は、俺個人の因縁だ。彼等は関係無い。それに、ミス・チゾメを今呼んだところで、何の役にも立たんだろ。今はまともに戦える精神状態じゃない。」
クラウディオ「あの子には同情するよ。おい、そろそろ時間だ。」
モードレッド「あぁ。」
クラウディオ「監視カメラをジャックできるのは10分間だけだ。行って戻ってくる時間を考えれば、7分が限度だ。」
モードレッド「分かってる。行くぞ。」
N(空港内部にて。)
天音「いたいた!セツナっち!どういう事だ?任務は王室の護衛だろ?女王はもう行ってしまったぞ?」
瑞希「抜け出すの大変でしたよ。一応英語覚えて来て良かったです。」
村雨「……集まりましたね。今回の任務、知らされていたのは王室の護衛。この場合はエリザベス女王3世の事を指しますが、先程総理から王室の飛行機に迎えと命令がありました。付け加えるように、金髪の男の機嫌を損ねるな、と。」
瑞希「ようするに、王室の護衛と言うのは、女王の事ではなく、日本に来てるイギリス王室の人達の事、と言う事ですね?」
村雨「えぇ。そして、女王の護衛が外されたと言う事は、今回の任務で女王より優先度の高い人物が居るという事です。」
天音「これは只事では無いぞ?発言には気をつけねばなるまい。ほれ、迎えだぞ。」
アーロス「お迎えに上がりました。私は王室で執事をしています。アーロス・ウィンターと申します。暗躍密謀課の皆様、今回は任務を切り上げ出向いてくれた事に感謝します。さぁ、こちらへどうぞ。我が王がお待ちです。」
N(飛行機内部にて。)
アアーロス「お待たせしました。暗躍密謀課の方々がおいで下さりました。」
アーサー「よく来たではないか。歓迎してやるよ、愚民達よ。」
天音(な、なんだこの光景は?女が床を舐めながら、金髪の男が女の背中に脚をかけてる!?)
アデレード「ふふっ、いらっしゃい。そんな目で見ないで欲しいわね♡羞恥心でゾクゾクしちゃう♡」
瑞希「……け、警部……?」
瑞希(あっ、絶対めんどくさい事押し付けられた時の顔してる!)
村雨(めんどくせぇぇぇぇ〜……え?なんなんこの状況?イギリスってこう言う国なの?SM大公開なの?確かに外交とかってそう言うのあるよね!うん!ねぇよ!?)
天音「なぁ、どう言う状況だ?呼ばれて来たのは良いが、いまいち状況が掴めん。絵面がキショい。」
瑞希(……ぶ、ぶっ込みやがった……発言には気をつけようとか言ってた人がぶっこみやがった!)
アーサー「なんだ?余の行う事に不満を漏らすか?」
アデレード「ふふっ、彼に対して面と向かってそんな事言ったのは貴方で2人目ね。」
アーサー「喋るな。」
アデレード「あはんッ♡」
村雨「チワワ!謝って!ほら!」
天音「お主がどれほどの者かは見て分かる。今回の状況もそうだ。我々を呼び出した本人は貴様だな?……よっこらせ……ふかふかだな。おいそこの執事、何か飲み物をくれ。酒以外でな。二日酔いで頭が痛い。」
アーサー「フハハハハハッ!良い!良いな!余を眼前にして、その気丈な振る舞い!実に良い!だが、手の震えは隠すべきだ。」
天音「ッ!……ははっ、バレてたか。」
アーサー「余は自分の器を知っている。故に、隠しきれない雰囲気と言うのは、幼少の頃からあった。良い部下を持ったな。村雨刹那。」
村雨「なぜ、私の名前を?」
アーロス「総理より貴方の話は伺っております。今回の件、来日より前から貴方の事が気になっていたようで。今回、このような場を設けたのも、王のはからいであります。」
アデレード「首脳会議とかでも、必ず貴方の名前が出るわよ?まぁ、だいたいはどこの国が一番優れてるだの、私の部下はどれだけ優秀だの、私が育てだの、歳をとると老害になるのは仕方ないわね。」
アーサー「飽きた、失せろ。」
アデレード「は〜いッ♡じゃ、そこの君、ちょっと来てくれるかしら?」
瑞希「僕ですか!?」
アデレード「えぇ、貴方よ。(小声で)メガネかけた男の子、結構好きなのよね♡」
瑞希「デュフフ……じゃ、じゃあ、お先に失礼します。」
アーサー「ふんっ、たわけが。」
アーロス「天音さん、聞く話によると、貴方は大のチーズバーガー好きだとか。お取り寄せしておりますし、良ければどうでしょう?」
天音「ホントか!?」
アーロス「えぇ。5種類のチーズに厳選したA5ランクの黒毛和牛……とっても美味しいですよ。」
天音「すまんセツナっち!席を外すぞ!」
村雨「どうぞ。」
アーサー「…………これで、邪魔はいなくなったな。今回、俺の目的は貴様にある。」
村雨「私、ですか?」
アーサー「あぁ。国の話に関しては今回余が出るまでもない。何の問題も発生してないのだから。」
村雨「日本語、上手ですね。貴方のような人を知り合いにいますよ。一人称は違いますが、喋り方も声も似てる。だけど、貴方ほど高圧的ではありませんが。」
アーサー「ほぉ、日本の者は皆キモ座ってるな。言語に関しては心配するな。ラテン語含めて、使われてる言語は全て覚えてる。あいつらも、余とまではいかないがそれなりに教養がある。」
村雨「で、私に何のようで?」
アーサー「あの豚から聞いたが、貴様の組織は主要人物のギルティサービスを執り行うと聞いてな。ほんの少しだが興味が沸いた。」
村雨「そうですね。私の裁量でまかり通る事なら、なんでもやりますよ。」
アーサー「そうかそうか。では脱げ。」
村雨「はい?」
アーサー「脱げと言ってるのだ。二度も言わせるな下民が。」
村雨「……分かりました。」
N(村雨は思った。この男は明らかに異常だと。長年、裏の仕事をして、様々な人物を見てきた。このような命令も何度も受けて来た。醜悪な目を向け、淫売を望む者達を。だがこの男は違う。自分が経験して来たもの全てに当てはまらない。ただの興味、観察。人間が動物の生体を観察するように、この男からしたら、自分以外の全てが動物以下でしか無いことを。)
アーサー「ふむ。興味深いな。女性の象徴である豊満な胸を持ちながら、それでいて男性器がある。見たところ、手術痕も無さそうだ。生まれついてか?」
村雨「はい。」
アーサー「胸もシリコンを入れ様子は無い。触り心地でわかる。……女性器が無い。排泄は男性と同じか。それに……」
村雨「んっ……」
アーサー「ちゃんと性感も機能してるのだな。面白い。よし、次は精子が出るか試そう。」
村雨「ちょっと!流石にそれは!」
アーサー「たわけが。誰に対してものを言っている。貴様の身体は、人類史を見ても初めての例だ。手術で貴様の身体になったものも多数いるが、天然で男女の特徴を合わせる者はいないのだ。」
村雨(ホントに厄介だ……この男は、本当に何の下心も無い。ただの観察、この行為も実験に過ぎない。人間が持ち合わせた好奇心だけで、触っている……下手すれば、この男は咥えかね無いな……まぁ、高身長の外人イケメンに咥えさせるのも、悪くないかもしれませんが……)
N(空港滑走路付近にて。)
アデレード「さぁ、ここでお茶でもしましょうか。」
瑞希「ど、どうして滑走路のど真ん中に?」
アデレード「あ、自己紹介が遅れたわね。」
瑞希(話聞かないなこの人……)
アデレード「私はアデレード。王室機密護衛隊のガヴェインの席についてるわ。どうぞよろしく。」
瑞希「……暗躍密謀課の瑞希騎士です。」
アデレード「あら、貴方もナイトなのね。」
瑞希「まぁ、一応名前だけですけどね。それより、どうしてあんなことをされてたのですか?」
アデレード「そうね。少しでも彼に興味を持って欲しいからかしら?後は単純に私の被虐欲を満たしてくれるから。」
瑞希「面白い事を言いますね。」
アデレード「ま、私は一途だから。こうやって誘われた時、セックスでもすると思った?」
瑞希「はい!」
アデレード「……正直ね貴方。まぁ、戦いもセックスと同じよ。貴方を呼んだのは少し手伝って欲しい事があったから。」
瑞希「なるほど。任務は続行中と言う事ですか。」
アデレード「私達の王が対談してるのに、邪魔者を入れて良いわけ無いわよね。」
瑞希「もちろん、その通りです。」
N(すると、滑走路の向こう側からバイクの排気音が聞こえてくる。音はどんどんこちらに近ずいて来る。)
クラウディオ「モル、前方に二人。」
モードレッド「構わん、殺せ。」
クラウディオ「了解、そちらのルートは?」
モードレッド「……お前と同じだ。」
クラウディオ「事故るなよ〜?」
モードレッド「たわけ。誰に言ってる。」
N(空港内内部にて。)
モードレッド「久しぶりだな、天音。それに、アロー。お前も元気か?」
天音「お〜!モモル!」
モードレッド「モードレッドだ。」
アーロス「お久しぶりです、弟君。」
天音「お前さん、どうしてバイクなんか?駐車場なら、外だぞ?」
モードレッド「悪いな天音。今回は敵と言う訳だ。」
天音「そうなのか!?……ホントに……残念だなッ!!」
N(すると、天音はベンチの後ろに隠していたM99を取り出し、モードレッドに向けて発砲する。)
モードレッド「ッ!?……危ないな。買ったばかりのバイクなのだがな……」
N(弾丸はバイクを貫き、モードレッドはすんでの所で回避し、壁の後ろに隠れる。)
天音「執事よ、敵だとさ。」
アーロス「えぇ。援護は任せます、私は突っ込みますから。」
天音「流れ弾には気をつけろ?頭を低くするんだ。我ぐらいにな!」
N(天音は片膝をついて、モードレッドのいる壁に向かって狙撃していく。)
モードレッド「クソッ……狙撃か……厄介だな天音!」
天音「実は我、一番これが得意なんだよ!隠れるのも良いが、じっとしてると、撃ち抜いちゃうぞ♡」
N(天音は、観葉植物の葉っぱを撃ち抜いた。)
モードレッド「ぐっ!?」
N(弾丸と言うのは、横からの力がしょうじればいとも簡単に弾道は変わる。腹を撃たれたのに、弾丸は肩から抜けたと言う実例もある。天音飴の本当の能力、それは空間把握能力と高速演算能力……故に、葉っぱ1枚あれば、彼女は弾道を思い通りに操れる。)
モードレッド「100点満点だ!天音!生きてたらステーキをご馳走してやるぞ!」
天音「生きてたら、な?」
アーロス「私の事もお忘れなく、弟君。」
モードレッド「ッ!?……声かけなかったから死んでたな。」
N(壁に突き刺さったナイフを見て、モードレッドは固唾を飲んだ。)
モードレッド(今回の作戦に関して、こうも早く察知され待ち伏せを受けるとは思って無かった。……仕切り直すか?いや、今日が絶好の機会だ。時間は後4分。……2分で片付けてやる。)
アーロス「さぁ、弟君。卑怯、とは言わないですよね。」
モードレッド「当たり前だ。……ただでさえこの体だ。寿命の前借りはかなり堪えるが、やるしかないな。」
N(空港滑走路付近にて。)
クラウディオ「2発で死んでくれよッ!」
N(バイクを加速させながら、クラウディオは懐に入れてた銃を抜いた。そして目の前にいる2人に向けて2発発砲する。)
瑞希「ッ!?……好戦的ですね!でも、そんな状態で当たるわけないでしょ!」
N(加速するバイクに跨りながら、重たい銃を片手で発砲する。だが、そんなのが当たるわけもなく、瑞希はナイフを前輪に狙いを定めて投げる。)
クラウディオ「ヤバっ!マジかよ!っぐっ!ガッ!……いってぇぇぇぇッ!!」
アデレード「お見事。凄いわね!」
瑞希「ナイフに関しては一流ですから。」
クラウディオ「おいおいお前ら……今ので腕、折れちまったじゃねぇかよ……」
瑞希「拘束しましょう。洗いざらい吐いて貰いますよ、テロリストさん。」
クラウディオ「ハハッ……ぐっ!?……テロリスト?違ぇよ、俺はただの囮だ。」
アデレード「何ですって?」
クラウディオ「バカが。」
天音「もしもし!聞こえるか!」
瑞希「あ、天音さん!?」
天音「すまん!取り逃してしまった!あいつら、バイクだけじゃない!空港の中に戦車まで持ち込んで来たぞ!?」
瑞希「はぁ!?戦車!?」
アデレード「ちょっと、どう言うことよ?」
瑞希「……わ〜……凄ッ……」
アデレード「話には聞いてたけど、兄弟喧嘩でここまでするとはね。」
N(戦車内にて。)
中村「危なかったですね!会長!」
モードレッド「ナカムラ、助かった。さぁて、デカいのを頼むぞ。」
N(空港内の壁には大きな穴が開けられた。
アーロス「……やれやれ、流石にこれは……」
天音「あ〜あ、辞めだ辞めッ!無理無理、戦車相手にどうやってやり合え言うとんだ。対人ライフルじゃ、どうしようもならん。」
アーロス「その言い分だと、対戦車ライフルでもあれば何とかなると言う事ですか?」
天音「……当たり前だ。だが、今回の事はあまりにも予想外だ。」
アーロス「了解しました。2分、2分だけ下さい。」
天音「その2分で、飛行機の中にいるセツナっち達を避難させた方が良いだろう?」
アーロス「主人の手を煩わせるわけにはいきません。それに、私は出来ない事は口にしませんから。」
N(戦車内にて。)
モードレッド「アデレード、聞こえるか?」
アデレード「聞こえるわよ!モードレッド!久しぶりね。何年ぶりかしら?」
モードレッド「最後に会ったのが上海だったな。それにクラウディオ、大丈夫か?」
クラウディオ「大丈夫なわけ無いだろ、腕があらぬ方向にいってるぞ……」
瑞希「少しでもその戦車を動かして見ろ。この男を殺す。」
クラウディオ「だとよ、モードレッド。俺のことは気にするな……その大砲をあの飛行機にぶち込んでしまえ!」
アデレード「ホント、声だけ聞いたらあの人と喋ってるように聞こえるわね……モードレッド、引いてくれるかしら?貴方も仲間を失いたくは無いでしょ?」
中村「会長、どうしますか?」
N(飛行機内にて。)
村雨「外が、少々騒がしいですね。」
アーサー「気にするな。兄にかまって欲しい弟のお遊びだ。」
村雨「向こうの方から戦車が見えるんですが……」
アーサー「新しいおもちゃを手に入れて遊んで欲しいのだろうな。それより、貴様の生態を解明するのが先だ。さぁ、射精実験だ。」
村雨「……お断りさせて頂きます。」
アーサー「なに?」
村雨「聞こえませんでしたか?お断りさせて頂きますと言ったんですよ。」
アーサー「たわけ!誰に向かってものを言っている?誰が断る事を許可した?殺すぞ貴様ァ……」
村雨「……いい加減にしてください。」
N(アーサーの頬に感じた事の無い痛みが走る。頬は赤く、もみじのような痕がつき、彼は状況が飲み込めなかった。)
アーサー「?…………なんだ?……俺は何をされた?……どういう事だ?……頬が、痛い……なんだこの痛みは?」
村雨「部下が困ってるようなので、私はそっちに行ってきます。」
N(村雨を服を来て、飛行機の外に出た。残されたアーサーは、平手打ちの余韻か、己のプライドを傷つけられた事か、初めての痛みを受け入れるのに時間が必要だった。)
村雨「お久しぶりです、モードレッドさん。」
モードレッド「久しぶりだな。中々に面白いメンツだ。」
瑞希「お疲れ様です警部!」
村雨「どう言う状況ですか?腕が折れてる人に、私の部下に戦車にドMの人……カオスにも程がありますね。」
アデレード「とりあえず、どうするのかしらモードレッド?」
モードレッド「……クラウディオ、悪いな。」
クラウディオ「構わないよ。」
モードレッド「俺の目的はアイツだけだ。君達に危害を加えたい訳では無いが、邪魔するならば容赦しない。5秒後に飛行機を破壊する。逃げるならば今のうちだ。5……4……3……2……1……撃て!」
天音「危ないな!まったく!」
N(拳銃とは比較にならない程の破裂音、比較にならないほどの大きさ、比較にならない程のゴツさ。異常なほど大きいライフルから発射された弾丸はジャイロ回転しながら空を切り、鋼鉄の甲板に穴を開け、中の制御回路を粉々に砕いた。)
中村「会長!急にショートしました!」
モードレッド「……やるな、天音。俺らの負けだ。」
クラウディオ「……ヤバいんじゃないか?俺がだけど。」
瑞希「さて、死んで貰いましょうか。」
クラウディオ「……オススメはしないな……」
モードレッド「んっ……外の空気の方が上手いな。ムラサメ警部!取り引きをしよう。」
村雨「シェパード!……待って下さい。」
アデレード「もしもしアロー、私よ。」
アーロス「もしもし。何とか間に合いましたね。」
天音「なぁなぁ!我これ欲しい!」
アーロス「ちょっと待って下さいね。ダメですって!ちょ、返して下さい!」
アデレード「何してんの貴方?」
アーロス「まったく……凄腕の狙撃手がいたのでね、彼女がいなかったら主人は今頃死んでたでしょう。今回は、暗躍密謀課の方々に感謝しなければなりません。」
アデレード「彼の事はどうする?」
アーロス「お任せしましょう。我々は主人の面倒を見なければなりません。」
アデレード「……そうね。今頃拗ねてるか、暴れてるんじゃないかしら?」
アーロス「賭けますか?」
アデレード「良いわね、じゃあ私は拗ねてるに100ポンド。」
アーロス「私は暴れてるに200。さぁ、戻りましょうか。」
アデレード「先に待ってるわね。」
村雨「取り引きですか?」
モードレッド「飛行機の中で何があったかは知らん。だが、君にとって不快な事をされたのは知ってる。」
村雨「見てたんですか?」
モードレッド「いや、アイツの性格から考えれば察しがつく。アレは俺の兄だ。この身体にアイツと同じ血が流れてると思うと吐き気がする。」
村雨「ホント、一人称と二人称が違うだけで喋り方も声も体格も似合いますね。流石双子。」
モードレッド「やめろ。気に入らない。」
村雨「それで?取り引きとは?」
モードレッド「……俺達を見逃せ。」
村雨「理由は?」
モードレッド「単純だ。そこの腕の折れた情けない奴は俺の友人だ。殺されるのも忍び無いし、先程言った通り俺の目的は君達に無い。」
村雨「私達に何かしらのメリットがあります?」
モードレッド「聞くのは野暮だろ?それに、君がすぐ行動に移さない辺り、何かしら都合の悪い事、または何かしたんだろ?その尻拭いをしてやると言う事だ。」
村雨「……盗み聞き何て悪い事しますね。あられの無い姿を見られちゃいましたよ。……良いですよ、今回は見逃します。だけど、今回の事でかかった経費と報酬は貴方の会社に負担してもらいますからね。」
モードレッド「もちろんだ。……今度でもディナーでもどうだ?その後は、ネコとして鳴いてやっても構わんぞ?」
村雨「イギリス人の貴方がそんな言葉を知ってるとはね、サブカルチャーは偉大、よく言ったもんですよ。」
瑞希「ちょ、ど、どう言う事ですか警部!?」
クラウディオ「辞めろモル、友達が掘られるのは見たくない。」
モードレッド「経験としては悪くないと思うんだ。彼女は非常に魅力的な女性だ。」
村雨「浮ついた言葉をよくもそこまで……まぁ、ムラサメはやぶさかではないと言ってますし。任せます。帰りましょうシェパード。チワワも待ってます。」
瑞希「わかりました。」
天音「ハァ……ハァ……疲れた……空港からここまでは堪えるわ……」
村雨「ヘリ乗って帰りましょ。明日は休みですから、疲れた身体にアルコールとニコチンとセックス、3種の神器を揃えていざ我が皇居へ。」
瑞希「無礼な3種の神器ですね、嫌いじゃないです。」
天音「あ、美浦よってくれ。厩舎に顔出して来る。」
瑞希「帰りはどうするんですか?」
天音「タクシーか送って貰うとするか。」
瑞希「……僕も寄って良いですか?馬主って儲かりそうな臭いがするんですよね。」
天音「辞めとけ、我みたいな馬を見る才能があるものしかやってられん。ま、これでも赤字なんだがな!」
N(飛行機内にて。)
アーロス「……どちらでも無かったですね。」
アデレード「め、珍しいわね。こんな風に大人しくしてるのって……」
アーサー「……そうかっ!」
アデレード「ビックリしたわね……何よもう!」
アーサー「余は頬をはたかれたのか!だから痛いのか!」
アーロス「おや、貴方にそのような事をできる者がいるのですね。」
アーサー「ははっ……ふざけるな!余の顔に触れるだけで飽き足らず引っぱたくとは!殺す!顔を踏みつけながら殺す!今すぐあの女を血祭りにあげてやる!」
アーロス「落ち着いて下さい!今そんな事しても時間の無駄です!もうそろ菅山総理が来ますから!」
アーサー「離せッ!貴様も死刑にするぞ!」
アデレード「ほらッ!落ち着いてアーサー?ね?ほら、何時ものしてあげるから!」
アーサー「うるさい!あの女だけは絶対に許さん!」
アーロス「アデレード!無理矢理にでもいいからアレを!」
アデレード「分かったわ!」
N(アーロスは暴れるアーサーを抑えつけ、アデレードはその隙にアーサーを抱き寄せ、自分の胸に彼の顔を押し付け抱きしめた。)
アデレード「キング、貴方は王よ。生まれながらの王であり、そしてこの先も貴方は王であり続ける。それがアーサーの名を継ぐ者の宿命であり、ブリテンを統べる者の定め。」
アーサー「僕は……王……」
アデレード「目を瞑り、私の心臓の音を良く聞きなさい。呼吸を落ち着かせて……」
アーサー「あぁ……母上……母上は何処に?」
アデレード「私は逝くわ。かのブリテンに。貴方が世界を統べる時、冠は私がつけてあげる。」
アーサー「分かった……見てて下さい。母上……」
アデレード「……眠ったわね。」
アーロス「めんどくさい事になりそうでしたね。」
アデレード「セリフ間違えそうで危なかったわ。……にしても、寝てる顔はこんなに可愛いのね?」
アーロス「31歳の大男に言うセリフではありませんが、先代が生きてれば良き王子になれたでしょうね。」
アデレード「難儀よね、この儀式。これをしないと寝れないなんて。」
アーロス「弟君のように、主人もまた呪われている。弟君には頑張って欲しいですね。」
アデレード「そうね。でも、私は今の彼が好きよ?虐めてくれるもの。」
アーロス「飛行機を動かします。……主人の事、後は任せますね。」
アデレード「えぇ、もちろん。」
アーロス「………………まったく、私の周りには嘘つきしかいないようだ。」
N(茨城県 美浦トレーニングセンター)
瑞希「結構広いですね。」
天音「確か、東京ドーム64個分ぐらいだっけか?東京ドームで例えられてもよくわからんが、めちゃくちゃ大きいと言う事だけは分かった。」
瑞希「それより、僕も気になって調べたんですけど、馬って血統とかも重要なんですね。」
天音「交配するための配合とか、色々あるかな。まぁピンキリだが、概ね血統の良い馬は高い値がつくな。」
瑞希「…………それって、人間も同じ何でしょうか?」
天音「……どう言う事だ?」
瑞希「人間には、生まれ持った才能や、それからの努力、様々ありますが、それらも結局は血統なのでしょうか?」
天音「……分からんな、だが……馬も人間も同じ生物であり、遺伝子を受け継ぐ者達だ。もしかしたらだが、セツナっちやあの男達も、インブリードやアウトブリードがあってもおかしくないな。」
瑞希「それだと、少し悲しいですね。」
天音「何故だ?」
瑞希「結局、何かしらの目的作られた存在って事ですよね。嫌じゃないですか?自分は自分の存在意義を模索してるのに、赤の他人が自分の全てを知ってるなんて。」
天音「そうかも、知れんな。」
N(モードレッド低にて。)
クラウディオ「いってぇ……」
モードレッド「受け身がなってないな。」
クラウディオ「100キロ近い速度で転倒したら普通死ぬぞ?腕と肋の骨折ですんだだけでマシだ。」
モードレッド「そうか?俺はお前みたいな下手じゃないから、よく分からん。」
クラウディオ「お前のそう言う所ホントに嫌いだわ。……それより、ミス・チゾメはどうした?まだ部屋に篭ってるのか?」
モードレッド「いや、彼女の地元で祭りの開催日らしい。先程、ミスター・ナルミに言って、無理矢理彼女を連れ出して貰った。」
クラウディオ「良い息抜きになれば良いがな。」
モードレッド「どうだろうな、分からん。俺は彼女では無い。だが、歳若いフィメールが背負うには、いささか重い物があるのも事実。」
クラウディオ「それを言ったら、お前の家系もそうだよな?」
モードレッド「あぁ。だから俺は彼女の気持ちがわからん。俺は彼女みたいに思い悩む事は無かった。敵と味方で割り切れてたのかもしれない。いや……彼女の反応が普通で、俺の方が異常なのかもしれないがな。」
クラウディオ「それに関しては賛成だ。お前も、あの兄貴と同様、王の血を引いている。」
モードレッド「そうだな。だからかも知れない。俺は、彼女を更なる破滅の道に引き込んだかもしれない。」
N(飛行機内部 アーサーの寝室にて。)
アーサー「好きだったよな?こうやってッ……首を絞められるのがッ……」
アデレード「…………アーサー……」
アーサー「……貴様、誰の許可を得て淫声以外を喋っている?殺すぞ?」
アデレード「……下手くそ……」
アーサー「……は?」
アデレード「全然力が入ってないわよ?」
アーサー「な、何をする貴様ッ!ぐっ!」
アデレード「簡単に押し倒せた♡」
アーサー「退けっ!本当に殺すぞ貴様!」
アデレード「下手くそ……アーサーすらも演じれないなんてね、キング。」
アーサー「……何を言って」
アデレード「(被せ)目のクマに、痩せて来た身体……急に襲って来たから、まさかと思ったけど、何日寝てないの?」
アーサー「何を言ってる貴様!ッ!?」
アデレード「あッ……んんっ……奥まで来たわね♡……もうイキそうなの?ほら、もう一回聞くけど、何日寝てないの?」
アーサー「……む、6日だッ……」
アデレード「寝かせても、30分ですぐ起きてしまうものね?アーサー……いいや、キング……私が愛を教えてあげる……」
アーサー「や、やめっ!」
アデレード「疲弊した貴方がっ……私を退かせようなんて、思わないでよね……」
アーサー「そんなツギハギだらけのお前に、この僕が組み伏せられるなどッ……屈辱だ……」
アデレード「ほら、口調も戻って来た……」
アーサー「ッ!?……やめっ、言うなッ!」
アデレード「そうでしょ、キング?」
アーサー「違うッ!僕はキングじゃない!アーサー……アーサー・ウィルペンドラゴン……いいや、僕は、余は……ハァ…ハァ…ハァ……どっちだ?僕は、余は、誰だ?」
アデレード「落ち着いて……貴方は、キング、アーサー王を演じるキング・ウィルペンドラゴン……私の身体を貪る事に集中して……んッ、そう、良い子よ……」
アーサー「アデレード……」
アデレード「違うわ、アリアよ。アリア、さぁ言ってごらん?」
アーサー「……アリア……」
N(数時間後。)
アーサー「……すまない、中に出してしまった。」
アデレード「別に良いわよ。慣れてるもの……お互い、痛い思いをして来たんだから、貴方が私の事を気にする事は無いわよ?」
アーサー「だか、子ができたらどうする?」
アデレード「堕ろすかしら?もったいないけど、今の私が産んでもね?それに、貴方に迷惑をかけたくないし。」
アーサー「……できたら、産め。」
アデレード「え?」
アーサー「もし、受胎したら、貴様を余の伴侶として迎え入れる。……マゾヒストの貴様を喜ばせる訳にはいかんからな、余が考えた屈辱だ。甘んじて受けるが良い。」
アデレード「……そ、そうね……えっと……そのッ……お、お風呂入って来る……」
アデレード(ヤバい……顔が、熱いかも……)
N(空港にて。)
菅山総理「あれ?……誰もいないじゃん……」
アーロス「なんか忘れてるような……まぁ良いか。」
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