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「どうして……それを……?」
奈波の動揺が、手に取るように伝わる。
「たまたま見かけてあとを尾けた! 今マンションの下にいる。俺というものがありながら、あいつは一体なんなんだ! 何か悩みがあるのなら、どうしてまず俺に相談しないんだ!」
だめだ、感情を抑えることができない。一気に捲し立ててしまった。
「あ……あなたには関係ないでしょ! もうほっといてよ!」
珍しく、というか初めて奈波が声を荒げた。
なぜ怒っているんだ? 気づかないうちに、俺が奈波を怒らせるようなことをしていたのか? しかしーー。
「関係ないだと! そんなわけあるか! じゃあ岡崎と代われ!」
こいつだけは許せない。奈波をたぶらかしたのはきっとこいつだ! どうせ心を病んだ奈波に生徒会の立場を利用して近づいたのだろう。奈波の純粋な心につけ込みやがって。きっちり話をつけてやる。
「……もしもし」
電話口から岡崎の声が聞こえた。
「岡崎、すぐに出てこい!」
「わかった、出て行くよ。でもその前に……」
なんだこいつ、言い訳でも始めるつもりか?
「今日という今日はもう許さない。奈波はお前に付け回された挙句、毎晩電話で執拗に迫られ、今では心療内科に通わなければならないくらい追い詰められたんだ。警察を呼んだから、そこを動くなよ」
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