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3 彼との出会い
「ふ~久しぶりに大量に買い物したわね…」
町で野菜と果物、保存食の干し肉を買った私は青い空の下、自分の家へ向かって歩いていた。私の家は林の間の1本道を歩いて行けばやがて家に着くと言う分りやすい場所にある。
荷物を抱えて歩きながら空を見上げれば青空がどこまでも広がっている。まるでピクニックにでも行きたくなるような陽気だった。そして父と母の事がふと頭をよぎる。
「はあ~お父さん、お母さん…たった1人きりの娘を残して本当に何所に行ってしまったのよ…」
呟いたその時…。
「う…」
すぐ傍で人のうめき声が聞こえた。
「え…?」
何だろう?空耳かな?立ち止まって耳をそばだてると再び右側からうめき声が聞こえてきた。
「うう…」
「な、何っ?!」
咄嗟に足元に落ちていた棒を拾い上げると、私は声の聞こえる方向へ向かってゆっくりと近づいて行った。
「!」
すると1本の太い木の根元に教会の神父さんが着るような青い法衣にショートブーツを履いた若い男性が寄り掛かるように、目を閉じてそこにいた。首からは大きなロザリオを下げ、背中に剣を背負い、腰にも剣を差していた。髪の色は私と同じ栗毛色をしている。
「うわ…神官様だわ…。でも…し、死んでいるのかしら…?」
この街は教会が無い。だから週に一度の礼拝には隣町から神官がやってきて祈りを捧げてくれる。だから、尊い人と言われてこの街では崇められているのだ。何しろこの街の掟は「神官様に会ったら親切に!」を掲げているほどなのだから。
すると再び神官から呻き声が漏れて来た。
「う…み、水…。水を…」
えっ?!生きていたのっ?!
「お水ねっ?!分かったわっ!」
私は駆け足で家に向かうと、家の中から木の桶を持って庭に設置してあるポンプで水を桶にくみ出すと、こぼさないように慎重に神官の元へと運んだ。
「神官様、お水…持ってきましたよ?」
「…」
ど、どうしよう…!反応が無いっ!まさか私がもたもたしているから死んでしまったのだろうか?!
「神官様っ!お水ですよっ!」
私は水を右手ですくって、ちょうど斜め上を向くような姿勢で座っている神官の口に水を垂らしてみた。
すると…。
「あ…み、水…」
薄目を開けて神官が呟いた。
「あ、意識が戻ったのですね?!そうです!水を持ってきました!」
すると…。
ガバッ!
突然神官は身を起こし…
ドブーンッ!!
いきなり水桶に顔ごと突っ込んだ。
「キャアアアアアッ!!」
何っ?!何っ?!一体何なの?この人っ!
「んぐっんぐっ」
神官は桶に頭を突っ込んだまま水をゴクゴク飲み干し、最後に桶を持つと上を向いて一気に飲み干した―。
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