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◇#17. 別離
言い訳のしようがなかった。
「ごめんね」とあなたは謝る。「……驚かせようと思って来たんだ……そしたら聞こえちゃって……」
――うん。あなたに悪気がないのはよく分かっているよ。あなたはそういうひとだから。
「きみの気持ちは分かった。……勝手に行動したおれが悪かったよね。ごめん。……答えが出ない、ってことが答えで、いいのかな……」
――あなたは、なにも、悪くないのに。わたしが、こんなだから……。
あなたを、こんなにも、苦しませている。
「ごめん、なさい……わたし……」
「謝らなくていい」とわたしに近づく蓮二は、目を細め、「きみと過ごした時間は宝物だ。……素敵な時間を、ありがとう……」
――本当に好きなんだったら、そんなふうに、言わないよね。引き留める、よね……。つまり。あなたにとって、わたしは、『その程度』のひとだったってこと。
「じゃあ。ぼくは、今日からソファーで寝るから。……きみは寝室で休むようにね。……あと。ドライヤーも使いなさい」
「そんな」とわたしは、「悪いです……ただの居候なのに……」
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