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あれから、急いで、わたしは、引っ越し先のアパートを見つけ。花見町近辺だと彼を思い出して辛くなってしまうから、新宿の東側にした。実家に戻るという手もあるが、あの場所には加藤くんとの思い出が染みついているので、わたしは、それに、浸りたくはなかった。
「でも。……加藤くんとくっついたわけではないんだよね。……加藤くんのこと、好きなの?」
「たぶん、……違う……」
「……えっ?」
腰を浮かすとわたしは、「突然のことで動揺しちゃったけど。……加藤くんのことはもう、……いいんだ。彼とどうなりたいとか全然思い描けないの。未来を。……浅葱さんとは違って……」
「えっ望海、浅葱さんのこと……やだ……」とわたしに近づく麗奈は、わたしの髪を撫で、「本当、余計なことしちゃった……ごめんなさい……。浅葱さんのことを好きな望海に変なこと吹き込んで……あたし……」
「いいの。……どのみち、蓮二に本当のことを言えなかったのがわたしなんだから。それはわたしの罪として……背負い続けるよ」
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