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「だ、めです……っ!!」とドライヤーを置くとわたしは立ちあがった。「酔いつぶれて介抱していただいたうえに、べ、……ベッドを使わせて頂くなんて。それ、絶対駄目なやつです……寝るならわたしがソファーで」
「心配すんな」
「あぐっ」
つん、とおでこをつついた浅葱さんは、わたしを見てやわらかく笑い、長身を屈めると、「……うちのソファーは高級なもんでなあ。寝心地は最高だ。問題ない」
……って浅葱さんはさっさと寝室を出て廊下へと消えてしまった……あーあ。わたし、馬鹿だなぁ。
新歓で飲み過ぎてトイレで戻して挙句タクシー乗せられて上司のお部屋に、……って笑えない。こんなにも迷惑をかける自分が笑えないお話。挙句、お誘いして断られたときたもんだ。いまどき悲劇のヒロインでもこんな展開、ありえない。
ふぅん。仮に、浅葱さんが抱いてきたとて、別にわたし、公言したりなんかしないけどなぁ。……まあ、職場恋愛がリスキーなのは合点承知の助。でも。
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