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「おっまえ。いまはいいけど、三十過ぎてそんな無頓着だと頭皮が寂しいことになんぞ」仕事のときのような……いや、仕事のときよりも熱っぽい口調で浅葱さんは言う。「頭皮は、肌くらいやわらけえのが理想なんだ。そのためにマッサージや、スカルプブラシでのケアが必要なんだ。知らねえのかよ。……ったく」
舌打ちをすると、「あっ」という間にわたしからドライヤーを奪い取り、浅葱さんは、わたしの頭皮を掴むように、髪を――乾かし始めた。風量がめっちゃ強い……が、頭皮のほうからばーっと乾かされているので気持ちがいい。……へえ。ひとに、ドライヤーかけて貰うのってこんなにも幸せ……なんだ。
ああ――幸せなにゃんこになったみたい……。蕩けそう……。なーごなーご。
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