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風量が強すぎてお喋りが出来ないゆえ、例えば美容室に行って新米美容師さんに当たったときのような気まずさは訪れない。淡々と――美容師みたいにわたしの髪を乾かしていく浅葱さん。……改めてみると浅葱さんってスタイルいいな……腰の位置高すぎでしょう!!! 年齢不詳なんだけど正確にはいくつなんだろう? 肌が、漂白剤がビビるくらいに白くって、綺麗で、透明感があって……前髪だけ長めで、全体的にタイトにアップしている。さわやか8〇3って形容がまさにぴったりな男性だ。身長、多分、180は超えてる。
「――で。終わり際に冷風にする。驚くなよ」
「……ふわっ……!!」いきなりドライヤーの風を冷風に切り替えられた。頭皮に当たる冷たい風が気持ちいい。頭皮にこもった熱がたちまちふわぁーっと逃げていく。「なんですかこれはーーーーっ!!!!」
「……冬とか、夏には、病みつきになんだよこれが」腹筋鍛えてんだな。さほど声を張っていないというのに、浅葱さんの声がしっかり聞き取れる。「でー。ここでブラシを使い、……っと。毛先だけカールしてやっか」
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