泣く男

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泣く男

 F博士の奥さんが亡くなった。  博士は自分が冷たい人間だと自覚していた。  葬儀が始まる直前、博士は薬をのんで、泣く男に変身した。 「大丈夫よ。きっとあなたはすごい発明をするから」  生前の奥さんの言葉を思いだして、博士は泣いた。  薬の効力が切れても、(ひつぎ)にとりすがり、一晩中おいおいと泣き続けた。
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