もう少しだけ

「あの、すいません」

「あ、昨日は
動かしていただいて
ありがとうございました。」

「あなたも泊まってたんですね
なかなかいないですよ」

「帰る方がめんどいですから」

「もう今日だったんですけどね」

「時間の感覚がもうガタガタです
あ、ちょっと早いすいません」

「え、どうかしました？」

「すいません
ど素っぴんで
あと風呂もこれからなんで」

「あ、そこまで気が回らず
ごめんなさい」

「いえ、こちらこそ
見苦しいものを」

「昨日の夜は
暗かったですもんね」

「それにこちらから
声をかけた手前
素っぴんとか
気にしてませんでした」

「どうでした？お写真は」

「えぇ！それはもう綺麗なものが撮れました」

「僕たちもです！
あと少し左だったら
写ってなかったかもですけど
流れ星も写り込みました」

「流れ星？」

「えぇ、タイムラプスなんです
写真じゃなくて動画なんですよ」

「そうなんですか？」

「見ますか？
ゆっくり動く写真のようなものです」

「ぜひ」

「どうぞどうぞ」

「ちょっと、
これは
すごいですね」

「気に入ってもらって
よかったです」

「私のはこんな写真です」

「すごい綺麗ですね
広いですね
これ僕たちのカメラですね」

「ここが唯一収まりがいいんですよ」

「そうですね
こうやってみると
世界って綺麗ですね」

「あなたのタイムラプスもです」

「ありがとうございます」

「あ、ちょっと距離が
素っぴんが」

「大丈夫ですよ
全然気にしないし
気にならないんで」

「私が気にして
気になるから嫌なんです」

「あ、すいません」

「いえ、こちらこそ」

「またどこかで会えるといいですね」

「なんか会いそうですね」

「そんな気がします」