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「はいはい、メンバーは揃ったかしら?」
いつの間にか後方にいた雨宮の背後に堀内が立っていた。
「7人中6人、ね。まあまあじゃない?」
ふふんと笑うと、そばにあった食堂の椅子に腰かけて、太い脚を組んだ。
「……じゃあルール説明をするわよ。一度しか言わないからよく聞いて」
彼女はそう言うと皆を見回して、それから最後に矢島に視線を合わせると鼻で笑った。
「我々の目的はただ一つ。来る選別の日に人類を残すか否かを神に助言すること。それに尽きるわ」
「―――いつ来んだよ、その日は……!!」
猪股が堀内を睨み上げる。
彼女は微笑んだ。
「もうすぐよ。いずれわかるわ。あなたがもし、生き残ればね?」
「――――」
猪股だけではなくそこにいた6人全員が黙り込む。
「我々の判断は最終段階まで来ている。つまりは人間を残す方向で、神に助言させていただくということなんだけど」
彼女は馬鹿にするように顎を上げながら笑った。
「ただ決めかねているの。人間と進化させたセレクターのどちらを残すか」
「…………セレクターってなんだ?」
猪股が矢島に顔を寄せてくる。
「常にバーストしながら生活している化け物だ」
矢島は海藤に聞こえないように言った。
「―――はあ?そんなんで身体は耐えきれるのかよ?」
バーストしたときの記憶がほとんどない猪股が眉を潜める。
矢島は妹尾に守られるように車イスを引かれている海藤を見下ろした。
確かに負担はあった。
セレクター=砂子みちるとして過ごしていた海藤の身体もボロボロになり限界を迎えていた。
「ーーー心配には及ばないわ」
堀内は猪股と矢島を交互に見つめた。
「この3年で我々はほぼ完全なセレクターを生み出したの」
ーーーザッザッザッザ……
突然、複数の足音が聞こえてきた。
4人の男が思わず身構え、妹尾が車椅子の海藤の前に立った。
階段だ。
誰かが昇ってくる。
白い髪の毛が見えた。
「―――!?」
階段を上ってきたのは、異様なマスクをつけ、医者のような白衣を身に着けた集団だった。
「―――なんだ、あのふざけたマスクは……!」
猪股が目を丸くする。
「それにあの髪の毛は?」
雨宮が眉を潜める。
「髪が白くて、目が赤いウサギみてえなのがセレクターの特徴だ」
彼らの頭数をかぞえながら矢島は言う。
全部で7人だ。
女子高生を救えなかった分、こちらが一人少ない。
「ウサギっていうか―――」
猪股が後退りをしながら彼らを見上げた。
「―――あれ……鳥じゃね?」
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