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「―――これで6対6、ね」
堀内は彼女の身体が前方に倒れるのを待ってから再び口を開いた。
「さあ、セレクター、人間側、共に自分たちの運命を共にする仲間を見て」
セレクター側は動かない。
しかし矢島たちは自分以外の5人の顔を何となく眺めた。
「この中に、リバーシブルとライアーが混ざっているわ」
「……リバーシブル?」
雨宮が眉間に皺を寄せる。
「人間とセレクターどちらにでもなれる存在よ。自分の判断でどちらも選ぶことができる。トランプで言うところのジョーカー、かしらね」
矢島はつい海藤を見下ろした。
妹尾も心配そうに彼を見つめている。
「じゃあ、ライアーは?」
猪股が不安そうに聞く。
「ライアーはその名の通り嘘つき、よ。偽りの仮面を被ってる」
堀内は楽しそうに笑った。
「つまりは裏切り者ってこと」
―――裏切り者……?
矢島は振り返った。
―――この中にセレクターが……。
いや、向こう側にいるって可能性もあるわけか。
並ぶ鳥マスクを睨む。
―――もしかしたらあの中に、人間が……。
否が応でも脳裏にあの顔が浮かぶ。
今まで幾度となく自分を欺いてきた、
そして幾度となく自分を救ってきた、
あの人間の顔が―――。
だとすればーーー。
セレクターを見つめる。
左から3番目。
背格好がほとんど自分と変わらない男のセレクターを見つめる。
あちらもレンズの向こうからこちらを見つめている気がする。
ーーーまさか………な。
ーーー期待するな。思い込むな。
殺されたと先ほど聞いたばかりだろうが。
これこそこの女の罠かもしれないのにーーー。
「ライアー気づいた時点で“告発”が可能よ。『あなたがライアーだ』と指をさすだけで、裏切り者を殺すことができるわ。
でも告発にはリスクがつきもの。もしそれが間違っていれば、誤った告発した人が代わりに死ぬことになる」
堀内は笑った。
「別にリバーシブルもライアーも、見つける必要はないわ。結局は最終的に残った人数で勝敗が確定することに変わりはない。何かご質問は?」
雨宮が口を開いた。
「ーーー双方同数だった場合はどうなる」
「そのときは、全員殺すわ」
堀内は楽しそうに笑った。
「他にご質問は?」
矢島は再度セレクターたちを見た。
彼らもこちらを黙って見つめている。
「――それでは、最終実験、スタートよ!」
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