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『であるからにして、かつて地球上に存在した恐竜たちには、衝突する小惑星が約1年前から肉眼で見えていた、ということが推測されるのです』
履修した宇宙工学の授業を聞きながら、倉科はシャーペンをノートに走らせた。
『このサイズの隕石は、1億年に1度のスパンで地球に衝突しています。ということはかつて恐竜やその他の地上の動物を絶滅させた隕石落下が、近々再び地球を襲うという可能性は、ゼロではないということです。人類はこのような未曽有の大災害を防ぐことができるのでしょうか?』
ホワイトボードには教授が作ったらしい地球の模型と、小惑星のそれが磁石で貼られている。
『現代の人類の技術をもってすれば、小惑星の出現とその大きさ、速さ、軌道などの予測においてはかなり正確に把握できると思われます。
したがって、宇宙船やミサイルなどで、強力な爆発や力を加え、小惑星の衝突を防ぐことができます。巨大な惑星を多くの欠片に分断するやり方です』
「なあ」
隣に座った同じゼミの友人が話しかけてくる。
「分断した欠片がシャワーのように地球に降り注ぐことはないのかな」
「それは―――ないかな」
倉科暁斗は苦笑した。
「分裂した断片は隕石と違って細かいから、大気圏に入る瞬間燃え尽きちゃうんだと思うよ」
すると、友人は口を窄め、「おおおお」と言った。
―――理工学部ならそれくらい分かれよ。
嫌味の一つも言ってやりたくなったが、それでも倉科は視線を前方に戻した。
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