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心配して損したとばかりに頬杖を着いて半眼で答える。仕方ないのでメールで連絡が欲しいとだけ送っておき、今日中に返信がなければ明日の朝にでも連絡をしようと思った。
「間違いなく返事は来ないと思うけどな……」
『そりゃそうでしょう。アレ完全にこれから試合開始ですよ』
「誰と試合開始してもいいけど、年考えろよまったく……婚期逃しそうだから必死なのか?」
『それ間違っても女の人の前で言わないで下さいよ殺されますから。私はいいですけど』
「そんなヘマしねえよ」
メールを送信し終わるとタイミングよく清水が入ってくる。今の仕事の状況を聞き、できれば急ぎで例の占い師の情報を集めて欲しいと頼んだ。清水は快く引き受け戸波にもやってもらうという。清水がついていれば戸波も深追いしないだろう。一応その事を伝えると、余計な事をし始めたら逆エビ固めをしておくよと笑顔で答える。前々から思っていたが清水は若い頃総合格闘技でもやっていたのだろうか。年上な事もあるし、一応逆らわないでおこうとこっそりと思った。
どこかのセキュリティを解くというものでもないので、二人で作業をしてもらったら恐ろしく早く結果を持ってきた。あれから三十分とたっていない。自動検索ツールを使ったらしく、その中から必要そうな情報を割り出してくれたようだ。
頼んだのは少しの幸運ではなく、何もしていないのにとびきりの効果があった者たちのその後がわかるものだ。中嶋が把握しただけで二、三件だったが、二人が見つけたのは十四件だった。そのうち十件はこれからも良いことがあるといいな、というような内容だが残りの四件のうち二件はSNSの更新が完全に止まっている。この二件、最後の更新日からするとおそらく占いをしてもらった一番目と二番目の該当者だったようだ。一人目は一ヶ月前、二人目は二十日前。どちらもこんなに良いことがあった、という報告だけで終わっている。
「清水さん、この最初の二件人物特定はできますか」
「調べたよ。一人目は女子高生で友人達とのやり取りを見るに交通事故で大怪我をして今も入院中、二人目は会社員の女性だがおそらく亡くなっている。友人達のSNSが残っていてそんな内容だった」
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