11人が本棚に入れています
本棚に追加
その日、浩介は八千代の手を握り締めたまま、病室のベッドで朝を迎えた。
「浩ちゃん! 起きて!」
「はぁー、気分はどうだい?」
「うん、大分良いみたい」
浩介は、八千代に病気の事を話せずにいた。
「浩ちゃん、私の事は大丈夫だから、お仕事に行って! プロジェクトも大詰めなんでしょう」
本当なら八千代の側に居たかった浩介だったが、敢えて明るく答える。
「分かってるって! じゃぁ、そうしようかな」
「うふふ、行ってらっしゃい」
浩介は後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!