第1章

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その日、浩介は八千代の手を握り締めたまま、病室のベッドで朝を迎えた。  「浩ちゃん! 起きて!」  「はぁー、気分はどうだい?」  「うん、大分良いみたい」  浩介は、八千代に病気の事を話せずにいた。  「浩ちゃん、私の事は大丈夫だから、お仕事に行って! プロジェクトも大詰めなんでしょう」  本当なら八千代の側に居たかった浩介だったが、敢えて明るく答える。  「分かってるって! じゃぁ、そうしようかな」  「うふふ、行ってらっしゃい」  浩介は後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。
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