タイムカプセル

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タイムカプセル

──15年後のあなたは今どこにいますか? 何をしていますか? ……幸せになっていますか? ──── ここは、埼玉県の奥深くにある喜多川(きたがわ)小学校。創立60周年を迎えた今日、残念ながら老朽化と過疎化で廃校になってしまう。 「お〜い、4年2組の皆は全員、自分の手紙を受け取ったか〜?!」 大きなスコップに寄りかかり手で汗を拭いながら、当時4年2組の担任だった山本先生が大きな声で叫んできた。 15年の月日が経った先生は、白髪混じりの中年男性にはなっていたが、当時の面影は残っている。 「先生、あんまり張り切り過ぎて腰痛めんなよ。もういい歳なんだからさ!」 「おい〜年寄り扱いするんじゃないぞ!俺の体はまだまだ(なま)ってないからな」 「先生、知ってる〜?!それって年寄りの常套(じょうとう)文句なんだって〜」 その言葉を聞いた元生徒達は、一斉に笑いだした。 まだ幼かった子供の(とき)から月日が経ち、25歳となった私達は、当時埋めたタイムカプセルを掘り起こす為に今日集まったのだ。 タイムカプセルには、"未来の私へ"という題で、未来の自分へ向けた手紙を皆で入れたのである。 それぞれ手紙を受け取った生徒達は、近くの友達と見せ合いながら当時の事を思い出し、和やかに談笑していた。 「真澄(ますみ)〜…ちゃんだったよね?久しぶりだね!……元気してた〜?」 自分の手紙を読み終えた真澄に突然話しかけてきたのは、今は美人清楚系のいかにも男性にもてそうな感じの女性だった。
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