悲しみを越えて

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私は手紙を書いている。 この間三周忌が終わったところだ。 ちょうど良い区切りだと思って書いている。 だけど、最初の「今どこにいますか」から全然進まない。 それどころか、前が見えない。 パタパタと音がして、視界が曇りガラスみたいに鈍る。 手が震えて、シャーペンを動かせない。 ああ、私、まだ悲しいんだな。 お葬式の時に、とっくに枯れたものだと思っていた涙。 だけど、まだ私には悲しい気持ちが残っていたんだと。 そう思うと余計につらかった。 私は諦めて、マッチと灰皿を持って外に出た。 灰皿に手紙を入れて火をつける。 煙になって、これが届けばいい。 「大好きでした」とは書けなかったけれど。
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