週刊誌記者と男

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「舐めてますよね完全に」 「……そうか?」 「そうですよ、舐めてます。問題と言われている件ですよ?つまり、問題と言われてるだけで彼らにとっては問題とは思ってないと言ってるんですよ」 「……はぁ、まぁ」 「それで、自分らは外国へ逃げるからもう関係ないってわけですよ、ひどい話だ」 「……そうだな」 「そうですよ、誠意もへったくれもありゃしない」 「……」 「これじゃ、国民の理解なんて夢のまた夢ですよ」 「……それより例の話は?」 「例の?」 「ほら、あの人と会って話をする場をもうけるって話」 「……あぁ、その件ですか、もちろん進めてますよ」 「いつ?」 「……いえ、いつとはまだ言えませんけどね」 「……なんか話が違うんじゃないか?」 「いえ、こういうのは順序があるんですよ」 「順序もなにも、これだけ(こじ)れたらもう無理なんじゃないか?」 「大丈夫、彼らもできるだけ円満に解決したいんですから」 「だったら、もっと早く何かしら話し合う場を設けてもいいんじゃないか?なぜ何もない?世間では俺の事を男としてかっこ悪いなどと言う(やから)までいる。これじゃ、俺だけ損してるんじゃないか?お前らは記事が売れて良いかもしれんが俺はかっこ悪い男というレッテルを貼られてるんだぞ?」 「いえ、この前ちゃんとお金の問題じゃないと言う記事も出しましたんで大丈夫ですよ。そういう発信力があるのがマスコミの武器ですからね」 「……本当か?」 「本当です。あなたは金を取られるだけ取られて結婚詐欺にあった様なものだと世間は思ってますよ」 「さ、ぎ?……まぁ詐欺みたいなもんだよな。結婚できると思ってたんだからな」 「とんでもない女です。天誅を与えないと…」 「……そうだな」 「そうですよ、こういうのは相手が折れるまで粘るのが大事なんです。そうなればあなたの名誉も守られます」 「……わかった」 男は疲れた眉間に少しだけ皺をよせて頷いた。
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