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「コロスかも知れない」
「……なんておっしゃいました?」
「……もしアイツに会ったら」
「それは不味いですね」
「不味いなら、絶対に会わない様にして!」
「……ほんの少しでも無理ですか?」
「少しだろうがなんだろうが駄目なものは駄目!」
「……昔は好きだったんでしょう?お金も融通してもらって恩義もあるのでは?」
「恩義?欲しいなんて一言も言ってないし貸すなんて言われてないわ。つまり貸し借りではなかった」
「それは聞きました。つまり法的には返す必要はないんです」
「そんな事どうだっていい!もう返す返さないの問題じゃあない!あの時最悪のタイミングで週刊誌に載ったという事実!それが私のせいだという事実!取り返しがつかないのよ!死んでなかった事になるならそうするわ!」
「そ、そんな事をしてもマイナスにしかなりませんよ」
「今よりマイナスにはならない!」
「なります!それこそスキャンダルに!息子さんの事を考えるなら気をシッカリ持ってください!」
「……大丈夫、私は正気……でもアイツに会ったら何をするかわからないのは変わらないわ」
「それは……不味いですね。それこそ破談になりますよ」
「わかってる!だから何としても会わない様にして!」
「わかりました。落ち着いて下さい、この件は我々と息子さんで解決しますので」
「……たのみますよ」
「はい……相手が同じ弁護士ではなく週刊誌の記者なので難航するとは思いますが」
「その……」
「なんでしょう?」
「その週刊誌の人にも会わない様に」
「会わない様に?私どもがですか?」
「私が!」
「あ、はい、もちろん。会うことはないでしょう。間違って会ってしまう事もないようにします」
「……宜しくたのみますよ」
「……はい」
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