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しぶしぶ迷子センターの前まで来てみたけれど、やっぱりどうしても入りづらい。
周りの人たちには、わたしはどう見えているのかな。何だか不安になってきちゃった。
入口の前には迷子センターの係らしきおねえさんが立っている。広くて薄いグレーの壁には、子どもが不安にならないようにと、キャラクターの絵がたくさん張ってあって、明るい音楽が流れている。
一度はチュウチョしたけれど、やっぱりここにママはいるかもしれない。勇気を出してわたしはそのセンターのおねえさんに声をかけてみた。
「どうしたの? 迷子になったの?」
「はい。うちのママ、来てますか?」
「ん? 一人でここまで来たの? えらいね」
「ええ、まあ」
やっぱりわたしのこと、迷子だと思っているようなお話の仕方。本当はそうじゃないのに。
「え、えっと……探してみるね。お名前言えるかな?」
「はい。月子です」
わたしの言ったことをメモしているみたい。笑うとエクボの出る、かわいいおねえさんだけど……どうしてだろう、どこか頼りない気がする。
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