愛があれば何度でも逢える

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 本日は始業式のみのため授業は無し。しかし補習はあるため、逢依は教室で弁当を食べて午後に備える。 「ルーあい! ちょっと良いかい?」  逢依の食事が終わる頃合いを見計らい、愛が声を掛けてきた。とっくに帰ったと思っていた逢依は、驚きながら尋ねる。 「愛? どうしてまだいるの?」 「そんなことはどうでも良いでしょ。ちょっと付き合って」 「え、けど私、これから補習が……」 「分かってるよ。でもまだ時間はあるじゃん」  そう言った愛は逢依の腕を掴み、強引に引っ張り上げる。そうして席から立ち上がらせ、外へと連れ出した。 「ちょっと愛、どういうつもり?」 「えへへ、キャッチボールでもしようと思ってね。ほい」  愛が鞄の中からグラブを取り出し、逢依に渡す。一度は断ろうとする逢依だったが、どうせしつこく迫られるだろうと諦めて受け取る。 「よし、じゃあ行こっか」  二人は制服姿のままグラウンドに入り、キャッチボールを始める。どこの部活もまだ練習を行っておらず、自然と彼女たちだけの空間が出来上がる。 「久しぶりだねえ。前までは毎日ルーあいとやってたのに」 「そうだね。私なんてボールを握るのすらしてなかったし」  逢依は感覚を思い出すように、ゆっくりと肩を回してボールを投げる。一方の愛は以前と変わらず勢いのある投球を放っていたが、逢依はどの球もしっかりとキャッチする。 「……私ね、ルーあいが野球を辞めるって知った時、ショックだったんだ。もう二人で野球をやれないんだって思うと、凄く悲しくなるの」  暫く距離が離れた後、唐突に話を始める愛。逢依は特に反応は示さず、淡々と捕って投げるのを繰り返す。 「でもね、私気付いたんだ。ルーあいが野球を辞めても、こうやってキャッチボールくらいはできるはずだって」 「……何が言いたいの?」 「簡単だよ。私たちの関係が無くなるわけじゃないってこと。私が本当に嫌なのは、ルーあいとの繋がりが消えちゃうことなんだ。でもそんなことにはならない。違う道に進んだって、私たちはコンビとして励まし合える。それは絶対に変わらないんだ!」
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