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「どこの泥棒猫と遊んでいるのでしょう? 困った人」
沙羅はため息をついて自室に戻ると、薄化粧を施した。ファンデーションを塗り、青系のアイシャドウを軽くのせ、最後に真っ赤な口紅を塗ると、ワインレッドのワンピースに着替えた。
黒いカーディガンを羽織ると、髪を解く。
さらり、夜のような黒髪が、彼女の華奢な背中を覆った。
台所に戻ると、ケーキ箱に林檎ケーキを入れていく。冷蔵庫の中で冷えた林檎は、さっきよりも艶々していた。
個包装のプラスチック製フォークも3つ入れると、お気に入りのヒールを履いて外に出た。
夜にしては明るい空を見上げると、三日月が輝いていた。
「素敵な夜ですね」
沙羅は穏やかな笑みを浮かべ、夜道にヒールの音を響かせながら、愛しい人がいる公園へ向かった。
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