第一章 願いを叶える人形

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「本当はおばあちゃんに紹介したかったんだけど、ついさっきグランドゴルフのお誘いが来て出かけちゃったんだ。だから先に例の人形の所へ行かない?」 「わかった」  軽い足取りで歩く陽菜の後ろを歩き、人形があるという蔵へ向かう。家の後ろに建っている蔵は人が住めそうなくらい大きく、立派な建物だった。 「人形の怪談、ね……」  オレは蔵を見上げて、これから見る『願いの人形』とやらがどんなものかと想像する。生憎、今までの人生で幽霊なんて見たことないし、夏の怪談特集の番組や、友達に誘われた心霊スポット巡りでも何も視たことがなかった。  だから、オレは幽霊や怪談なんて作り話だと思っているし、陽菜には悪いが今日も何事も起こらず終わると思っている。  そもそも、オレがなぜ陽菜の実家に訪れているかというと、話は昨日に遡る。
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