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「さて。雑談はそのくらいにして、本日の目的に取り掛かりましょう」
イルが一歩踏み出すと先程までペタペタと周りを跳ね回っていたブタノハナたちが、ザッと一斉に逃げ出した。
「……………………」
「怖がって逃げちまったやす!」
「イルさま強すぎよ」
「私ずっとイリュードさんの後ろにいますね」
俺はその場で立ち尽くしているイルを見る。
「ふう。私もブタノハナ達と仲良くしたいのですが……」
とイルは軽く俯きながら、モニアさんの襟元を掴み先頭に立たせた。
「貴女を連れて来て良かった」
「えっ! えっ!? なにするんですか!?」
ジタバタと暴れ回るモニアさんだったが、無駄な抵抗のようだ。
「モニアさん。この階で1番モンスターの多い場所に向かってください」
「え!? 私が先頭なんて無理ですよ!」
「大丈夫です。後ろに心強い仲間がいますから」
モニアさんに囁きかけるイルの姿が、足元から少しずつ見えなくなっていく。
「(セノ君。君にはこれを)」
姿が消えたイルの声がどこからか聞こえ、短い剣が手渡された。
「(ユニコ、ピョン。2人の援護を、よろしくお願いしますね)」
「任せて!」
「あいあいさー!」
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