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第0章 はじまりのはじまり
ガリ、ガリ、ガリ、ガリ
暗く無機質な部屋の中で、俺はひたすら何かの地図を描きまくっている。
生暖かい風とフンフンという音の中、俺の顔や髪型、身長が次々に変わっていく。
地面が小刻みに揺れている。
生暖かい風とフンフンという音は更に近付いてくる。
何かがおかしい……
描いても、描いても進まない地図。
次々に変わる俺の容姿。
どこか息苦しく必死に息を吸おうとする俺。
何か臭う……
顔にはベタっとした感触。
それを拭うが掌には何もついていない。
ん? これ夢か?
そう思った瞬間、俺の視界は真っ白になっていった。
**
目が醒めると俺は素っ裸で、モンスターたちに囲まれていた。
一ツ目の鬼が大きな瞳で俺を見つめ、死人のような顔色の口裂けが不気味な笑顔でこちらを覗き、艶のある紅色の竜が横から鼻息荒く俺の匂いを嗅いでいる。
「ウワァァァァアア‼︎‼︎」
身の危険を感じた俺はすぐさま逃走した。
本能のまま無我夢中で走り、気付いたら洞窟の出口に突っ立っていた。
眩い光に目が眩む。
ザワザワと沢山の人の声が聞こえる。
やっと景色が見えるようになると、目の前には沢山の人と荘厳な街並みが見えた。
視線を感じたのでそちらを見ると、真っ赤な顔をした女の人と目が合った。
「きゃーーーーーー!!!」
「インヤァァァァアア‼︎‼︎」
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