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キッチンから奥にひらけた場所に来た。
3つの部屋が並んでいるのが見えるが、広すぎて奥までは見ることが出来ない。
今立っている部屋にはモノがあまり置かれておらず、ふかふかの布が敷いてある。
「ここはリビングの玄関です。リビングは皆が一緒に過ごす場所ですね」
目を凝らすと玄関の先の中央の部屋には木で出来た大きなテーブルと、椅子が並べられているのが見えた。
その先にもう1つ部屋があり棚に入った沢山の本があることだけは分かった。
「皆、と言うのは先程紹介した2人になります。先程の2人は私の家族で、これから君の家族にもなります。大切にしてくださいね」
「……カゾク?」
「そうですねえ。これは説明が難しいのですが、日常生活を共にする人々、という所でしょうか」
「……ニチジョウセイカツ?」
イリュードさんは目を少し開くと、クスクス笑い始めた。
「まあ、そもそも言葉で説明するのは難しいものなので、これから少しずつ感じていってください」
「……感じる」
ギルドでイリュードさんに触られた、胸の辺りが温かくなるのを感じた。
「ここは特に何もないので、奥に行きましょう」
そう言ってイリュードさんは俺を、中央の部屋へ連れて行く。
先程見えた大きく長いテーブルと椅子が並べられており、壁際には器の様なものが入れられた棚があった。
「ここはダイニングです。私たちは毎日ここで食事をします」
「食事……ご飯?」
「はい、ご飯です。ピョンのご飯はとても美味しいので、楽しみにしていてくださいね」
イリュードさんはいつもの笑顔を見せる。
俺は”ご飯”という言葉に少しワクワクを感じた。
「ここはまた後で使用するので、説明は省きましょう」
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