第1章 Level.0の冒険者

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キッチンから奥にひらけた場所に来た。 3つの部屋が並んでいるのが見えるが、広すぎて奥までは見ることが出来ない。 今立っている部屋にはモノがあまり置かれておらず、ふかふかの布が敷いてある。 「ここはリビングの玄関です。リビングは皆が一緒に過ごす場所ですね」 目を凝らすと玄関の先の中央の部屋には木で出来た大きなテーブルと、椅子が並べられているのが見えた。 その先にもう1つ部屋があり棚に入った沢山の本があることだけは分かった。 「皆、と言うのは先程紹介した2人になります。先程の2人は私の家族で、これから君の家族にもなります。大切にしてくださいね」 「……カゾク?」 「そうですねえ。これは説明が難しいのですが、日常生活を共にする人々、という所でしょうか」 「……ニチジョウセイカツ?」 イリュードさんは目を少し開くと、クスクス笑い始めた。 「まあ、そもそも言葉で説明するのは難しいものなので、これから少しずつ感じていってください」 「……感じる」 ギルドでイリュードさんに触られた、胸の辺りが温かくなるのを感じた。 「ここは特に何もないので、奥に行きましょう」 そう言ってイリュードさんは俺を、中央の部屋へ連れて行く。 先程見えた大きく長いテーブルと椅子が並べられており、壁際には器の様なものが入れられた棚があった。 「ここはダイニングです。私たちは毎日ここで食事をします」 「食事……ご飯?」 「はい、ご飯です。ピョンのご飯はとても美味しいので、楽しみにしていてくださいね」 イリュードさんはいつもの笑顔を見せる。 俺は”ご飯”という言葉に少しワクワクを感じた。 「ここはまた後で使用するので、説明は省きましょう」
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