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それから手洗い場やプレイルーム、ドリンクバーなどの説明してもらっていると、ユニコが俺たちを呼びに来た。
ご飯が出来たそうなので、リビングに戻った。
先程の殺風景な机が嘘だったかのように、沢山の食べ物で彩られている。
「おまたせやす!」
「あーお腹すいたー」
「どれも美味しそうですね」
俺はコクンと頷いた。
「温かい内にいただきましょう」
皆が椅子に座ったので、俺も真似して座る。
イルが
「今日もこうして皆さんと食事にありつけた事に感謝を……」
と言って目を瞑ると、ピョンとユニコが何かを叫んだ。
「「いただきます!」」
俺は訳が分からず呆然とするしかなかった。
「食材やご飯を作ってくれた人、命を繋いでくれる全てに感謝を込めてする挨拶です」
「ありがとう……じゃないのか?」
「そう言われるとそうですねえ。色々なしきたりがありますが、うちではこの言葉を使っています」
「そうなのか……」
イルは変わらない笑顔を俺に向ける。
その後ろで何故かユニコが恐い顔をして俺を見ていた。
「い、いただ……き……ます」
ユニコは少しムゥッとしながら、自分の皿に大量の草を盛った。
「初めてやさ、オマエのはオレが取り分けてやるやす!」
ピョンはそう言って机に並んだご飯たちを手際よく取り分けていく。
最初に草が山盛りになった小さな皿が置かれた。
「これはピョンサラダ。レタリーフと緑葉をふんだんに盛りつけて、円形にスライスしたベビツをトッピング。その上から乾燥させて粉末にしたミノミノの肉をかけて、キャロジンソースをかけてるやさ!」
と説明しながらもピョンは手際よく別のご飯を取り分けていく。
次は黄色い液体の入った平たい器が置かれた。
キッチンで嗅いだ、あの滑らか香りがする。
「これは庭で採れたコンコーンとスタインチーズのなめらかスープやさ。手塩にかけて育てたコンコーンとスタインチーズを丁寧にコシてスープにしてるやさ!」
次は金色の粒々が入った少し深めの器だ。
それと色の違う液が入った器が3つ置かれた。
「これは大樹麦のクスクス。庭に生えてる大樹麦を粉にして油と塩を加えて混ぜた小さい麺料理やす!ソースは飛ダシ海老の紅トマソース、ビックリスパイス、塩の3種類。好きなの使って食べるといいやさ!」
最後は白身の肉のようなものが乗った、大きめの平たい皿が置かれた。
ふんわりと深みの強い香りがする。
ピョンは中央に置かれた丸々と太った魚から、その身を削いでいた。
「これは舟鯨のムニエル。舟鯨を塩とバターで蒸したシンプルな料理やさ!」
こうしてあっという間に、俺の前は食べ物で一杯になった。
「メインディッシュとデザートはまた後で出すやさ、一先ずここにあるもの平らげてくれやさ!」
どれから食べればいいか迷ってしまった俺は、とりあえず最初に出てきたサラダから食べる事にした。
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