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下の方にあるデカい葉っぱを掴んで口に運ぼうとする俺に
「あ、食事はこれを使うやす!」
とピョンは俺に先が三又に分かれた細い金属製の武器の様なものを渡してきた。
「フォークって言うやさ!こうして刺して使うやす!」
そう言ってザクッと一突き。
葉っぱは無惨にも串刺しになった。
そんな事を思いながら、俺は刺して貰った葉をそのまま口に運んだ。
それは苦みや甘みと辛みが混ざった複雑な味がしたが、サッパリとして食べやすい。
噛むたびに葉から水が滴るので、食べ物というより水分に近い感じがした。
これならあっという間に食べてしまいそうだ。
スープはもっと水分という感じがした。
しかしこれに苦みはなく、甘みと深みが暖かさを感じさせ、舌触りも心地よくて気に入った。
クスクスというのは不思議なものだった。
一つ一つは小さいがツブツブとして存在感がある。
ずっと噛んでいたい、クセになる感覚だった。
どのソースもそれぞれ食べてみた。
でもこれはソースがない方が、俺は好きだ。
ムニエルのふんわりと深みの深い香りは、心を落ち着かせてくれた。
肉だと思っていたがどうやらこれはサカナというものらしい。
ふわふわでホクホクとした食感は、大きな満足感を与えてくれる。
俺の器はすぐ空っぽになってしまった。
「同じ食事が摂れるようで良かった。美味しい、と感じるものはそんなに変わりない様ですね」
イルはさっきからサラダとスープばかり食べている。
「そうそう。メンバーが増えたので、2人には自己紹介をお願いしようと思いましてね。それと今日の内に彼の呼び名を決めたいので、考えるのを手伝ってあげて欲しいんです」
イルはサラダを取りながら話し始めた。
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