第1章 Level.0の冒険者

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イルは立ち上がると本の近くまで歩いて行き、◯に/が刺さった記号を指差した。 「"セノ"と言います。これだけは特別で“数”かと言われると難しいのですが、何も無い状態の事を示しています」 「セノ……」 俺は本に書かれているセノの記号を指でなぞった。 「そうか……なら俺の名前はこれにする」 「え! アンタ、そんな名前がいいの?」 俺は力強く頷く。 「ああ……これがいい」 皆に伝わるように、俺はセノの記号を真っ直ぐ指差した。 「セノ! カッコいい響きやさ!」 「では"セノ"君に決定ですね!新しい名前の誕生をお祝いましょう」 イルは笑顔で手を叩いていた。 「そんじゃオイラはメインディッシュを持ってくるやさ!」 そう言うとピョンはバタバタと椅子から降り、後ろにある扉から出ていった。 「君らしくていい名前です。これからよろしくお願いしますね、セノ君」 笑顔のイルに向かって、俺は確かに頷いた。
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