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暫くしてピョンがめいんでぃっしゅを温めてきた。
「ジャーン! 今日のメインは苺石竜の尻尾焼きやさ!」
トカゲの尻尾の様なものが湯気を立て、大皿に乗っている。
ピョンは先程同様、皿に取り分けてくれた。
俺は香ばしい匂いを立てている肉を、早速口に運ぶ。
ネチャッ
という感触。
苺石竜の尻尾焼きは俺には土を練ったものの様に感じられ、美味しいと思えなかった。
そんな感情が顔に出ていたのか
「あや、セノはドラゴンが苦手やすね?」
とピョンが聞いてきた。
「ごめん……あまり得意じゃないみたいだ……」
「全然気にすんなやさ! 好き嫌いは誰にでもあるやし、イル様もお肉は摂らないやすから!」
「分け前が増えてサイコーだわ!」
「あ、ズルイやす! オイラも食べるやさ!」
皆、俺が苺石竜を食べられなかった事をあまり気にしていないようだ。
ピョンとユニコはもの凄い速さで肉を取り合っている。
そんな2人を尻目にイルは袖に手をしまっていた。
コトッ
という音と共に、尻に縦長の目が描かれた様な形態の、ピンクのフワフワな氷がどこからともなく現れて俺の前に置かれた。
「本日のデザート。ブタノハナソルベです」
「……どういうものなんだ?」
「甘く味付けた果汁などを混ぜて冷やし固めた氷のお菓子です」
俺は匂いを嗅いでみた。
甘酸っぱい花の様な爽やかな香りがする。
「いた……だきます」
ブタノハナソルベはとても冷たく、一気に掻き込むと頭がキーンとなったが、程よい酸味と甘みはとても美味く感じられた。
「美味しい……です」
「それは良かった」
イルも同じものを上品に口に運び、こやかに笑うと続けた。
「食事が終わったら、自由にしていいですよ。ピョンの食事が終わったら、お風呂に行きましょう」
「おふろ?」
「はい。身体の汚れを落としたり、心を温かくする為にお湯に浸かるんです」
「そうか、じゃあ俺はそふぁで待ってる」
「はい。ごゆっくり」
俺はそのままリビングのそふぁに座り、ピョンの食事が終わるまでダンロの火の番をしていた。
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