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魔炭の半分の半分の半分位が燃えた頃、ピョンが声をかけてきた。
「セノ! お待たせやす!」
「これ……全然なくならないんだ」
「ムハハッ! イル様の魔力はとんでもないやすからね! そう簡単には無くなったりしないやさ!」
「そうか……」
「さっ、風呂に行くやすよ!」
俺はピョンに手を引かれ“おふろ”というものに向かった。
“おふろ”に到着するとピョンが服を脱ぎ始めたので戸惑っていると、
「お前も脱ぐやさ! 素っ裸でダンジョンにいたのに今更なにを恥ずかしがることがあるやす?」
と言い、俺は再び丸裸にされた。
ガラスの扉を開けて中に入ると、ムワッとした白いモヤで目の前が真っ白になる。
吸い込む空気が熱く、俺はむせてしまった。
「大丈夫やすか?」
「ああ……ゲホッ、ゲホッ」
「まあ湯気は身体には害はないやさ!その内慣れるやさ!」
そう言って奥の大量の湯が入ったくぼみから、手で持てるくらいの木製の器に湯を移すと俺に掛けてきた。
「熱い!」
「ムハハッ! 熱かったやすか! すまんやさ!」
ピョンは手のひらサイズの四角い塊を擦り、泡を立てその泡を俺に擦り付けてきた。
「これは石鹸やす! こうして汚れを落とすやさ! 頭もキチンと洗うやすよ!」
そう言うとピョンは頭で泡を立て始めたので、俺もピョンの真似をして頭で泡を立てた。
洗い終わると
「これは湯船やさ! 」
と先程ピョンが湯を汲んだくぼみを紹介された。
俺は片足から少しずつ入る。
少し熱く感じる湯が、身体を包み込んでいく。
イルの言ってた通り心が温かくなる感じがした。
俺がそのまま頭がボーッとするまで入っていたら、ピョンにもう上がるやすと言われ“おふろ”の時間は終わった。
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