もうすぐ40才の誕生日なのに捨てられました

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「だって、俺、子ども欲しいし。親からも『孫の顔を見たいからそろそろ結婚しろ』ってせっつかれてるんだ」 「なんで私じゃないの? 私こそが康史の彼女でしょ?」 それならなぜ恋人である歩乃佳に相談してくれなかったのだろう。6年前には結婚話もでた間柄ではないか。 それは交際を始めて1年ちょっと経った34歳の頃、二人の間で歩乃佳が35才になるまでに結婚しようかという話が出たことがあった。 だが、康史の転職が重なり「生活が落ち着いてからまた考えよう」という話になって、その話は立ち消えになってしまった。歩乃佳の中では、またお互いにタイミングが合う時が来たら結婚するのだと思いこんでいたが、康史の側では違ったのだろうか。 「歩乃佳とは7年近くも付き合ってて、もう家族みたいなもんだし、そういう対象じゃないっていうか、女性を感じなくなってたんだよね。孫の顔が見たいと催促されるようになってから、俺も調べてみたんだけど、やっぱり子作りを考えるなら結婚相手の年齢は20代がベスト。まぁ、30代前半までだと思う」 以前ほどの情熱がないのは確かだが、今でも二人の間に肉体関係は当然あった。それなのに、『女を感じない』なんてどの口が言うのだろうか。
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