もうすぐ40才の誕生日なのに捨てられました

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それは康史という彼が居て、その気になればいつでも結婚できるのだという安心感があったからだ。加えてタイミング的にすでに30代に入っていたせいもある。 20代後半、同世代の女子が30才までにはゴールインとばかりに次々結婚していくのを見ていたころは焦りまくっていたが、30超えたら開き直り、あと1、2年ずれたところで問題はないと思うようになったのだ。 そんな風にのんびり構えていた歩乃佳にもようやく焦りが出てきたのは、40才が目前に近づいてきたここ一年ほど前の39才の頃。 なんでここまで気づくのが遅くなったかと言えば、今度は歩乃佳自身が人生の転機を迎えていたからだ。37で配置転換された先の上司と折り合いが悪く体を壊し、38で思い切って今の職場に転職。一年ほど経って新しい職場にも慣れ落ち着いたら、もう大台が目前に迫っていたというわけだ。 恋愛指南書には結婚を急かすとかえって男性が気乗りしなくなると書いてあったのでそれを参考にこの一年、何気なくさりげなく結婚の二文字を康史にチラ見せして、康史の口から結婚話をしてくるのを心待ちにしていたのだ。 なんといっても歩乃佳は7年近くも付き合った彼女で、康史の一番の理解者のはず。広い心で待っていれば必ずプロポーズしてくれるはずだと信じて疑うこともなかった。
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