1人が本棚に入れています
本棚に追加
小さい女の子は人の気配に気づいたのか、身体を強張らせる。
ゆっくり、ゆっくりと覚束ないまま顔をゆっくりと上げた。
『だぁれ?』
不安そうに瞳を揺らしながら見る。
「なんで、みんなと遊ばないの?一人は寂しくないのかな?」
女の子の目線に合わせて俺は腰を降ろすように、地面に座った。
「結衣と、あそんじゃダメなんだって。」
小さい声に、俺の眉間に皺が寄る。
何を言っているのかわからない。
こんな小さい子どもにもあるのか?
「いいの。結衣、大丈夫だから。」
ふわりと笑った笑顔に、唇を噛み締めた。
何を言っているんだ。
この娘は?
本当はみんなと遊びたいんじゃないのか?
あの噂は俺の耳にまで届いてはいたが。
まさか、現状はこうだとは思わなかった。
「だったら、お兄ちゃんと遊ぼうか?」
俺は何を言っているんだ?
同情か?
我ながら情けない。
俺に情なんてあるわけがないはずなのに。
つい、言ってしまった言葉に女の子が目をまんまるくさせて見てくる。
最初のコメントを投稿しよう!