満月の為に

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満月の為に

ちゃんとすると言ったものの…どうすればいいんだ? 男同士で繋がる方法か。ネットで見てもイマイチ。 ゲイの友人はいないし、誰かに相談して変な噂が立っても困るしな… そういえば…前に付き合いで行ったゲイバーがあったな。あそこなら雰囲気も良かったし。 よし、何か掴めるかも。 カランカラン 『いらっしゃいませ』 「こんばんは」 『初めて…ではないですね』 「ああ…前に付き合いで来たことがあるんだ」 『ええ、覚えてますよ。素敵な方だと思ったので。ただノンケ…いえ、ノーマルだと思ったのですが?見分けはつきますよ?』 「ノーマルだった…かな?ある人限定なんだ」 『残念…こっちに来るなら是非と思ったんですが…』 「マスターすまない、無理だ」 『ふふ、冗談です。この私を振るなんて本当にその方限定なんですね。試すような言い方をして申し訳ありません。興味本意だけならお互いに傷付きますので』 「そうだな…相手もその…ノーマルで…気持ちは確かめあったし、ハグやキスは普通にしている…が、問題はその先なんだ。彼を傷つける訳にはいかなくて…どうすればいいのかわからない…こんな事誰にも聞けなくて。相談にのって貰えるか?」 『…お互いに初めてなんですね。あなたが挿れる方ですか?』 「ああ…それは相手も了承している」 『でしたら、あなたは簡単ですよ?ローションで濡らして拡げて挿れればいい。ただ、受け入れる方はとても大変です。おそらく最初は気持ちいいどころか気持ち悪いし、激痛です。普段、出すだけの所に異物を入れられるんです。想像できますか?』 「……」 『ただし、だからこそひとつになれる瞬間がものすごく愛おしい。必要なのは、方法ではなくあなたの愛だけなんです…彼を愛して、彼に愛されているのであれば大丈夫です』 「それは、マスターの体験談か?」 『ええ、お察しの通りです』 マスターは左手薬指に光る指輪をチラリと見せた。 「そうだな…俺は焦りすぎてた。抱かないと俺のにならないような気がして」 『ふふ、あなたに愛される彼は幸せですね』 「マスターありがとう、もう行くよ」 『はい、いつかお相手の方と一緒にいらしてくださいね』
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