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「何で…まさか同じマンションじゃ…」
クスクス…ははは…
「片桐だ。よろしく、年は30だ」
「僕は、酒井です。こちらこそ」
「あそこは単身マンションだ。君も独り身か?」
「ええ、残念ながら…今は彼女もいません」
「そうか、君に会えて良かったよ」
「僕もです。また会えるといいですね、月を一緒に見ましょう」
「そうだな、俺はさっき君に振られたしな」
「え?」
「さっき、《星の方が綺麗ですよ》って俺を振った」
「クス、そうでしたね。僕が女性なら《星も綺麗ですよ》って答えてましたよ?」
「そうだな、ありがとう。連絡先交換しないか?せっかく同じマンションなんだ。飲みにでも行こう」
「はい、また愛について教えてください」
「俺より、知ってそうだが…君はモテるだろう?」
「ええ確かに。でもなんか…片桐さんこそ、モテるでしょう?」
「まあ否定はしない…が…俺も何だか…だな。今は君と話してるのが楽しい」
ドクン…なんだろ。片桐さんの笑顔が心に突き刺さる。男の俺から見ても、相当なイケメンだからな。
「僕もです。多分女性といるより片桐さんと一緒の方が楽しいです」
ドクン…なんだ。酒井くんの無邪気な言動が心に突き刺さる。今までの女より、ずっとかわいい。
((でも…俺たちは男同士だ。あり得ない))
俺たちはLIME交換をしマンションまで一緒に帰った。
(酒田くんは12階か…)
(片桐さんは18階…すごい最上階だ)
「では、片桐さん先に失礼しますね」
「ああ、またな」
((はぁ…何かとても素敵な出会いだったな。また一緒に月が見たい))
お互いに胸に突き刺さるこの想いが何なのかわかるはずもない。男同士、ノーマル同士だったんだから。
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