満月にバカ…

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満月にバカ…

「龍弥さんのバカ…バカ…バカ…バカ…ふぅ…うぇ…」 違う、バカは僕だ。あんなカッコいい人に遊んで貰えてラッキーだったじゃないか。 新しい彼女ができたなら、応援してあげないと。 なのに…涙が止まらない。 心が痛いよ…引きちぎられたみたいだ… 【月がとっても綺麗な夜ですね】 【星も綺麗ですよ】 龍弥さん…あなたと見たかった。 龍弥さん…あなたがいないと、僕には月が見えない。 僕はひとしきり泣いた。重い瞼で重い心を引きずり家へと帰った。 ああ…スマホ…にはたくさんの通知。 【伊織、今日は来ないのか?】 行ったんだ。あなたと飲みたくて買ったお酒を持って。 【伊織、仕事忙しい?】 ううん、あなたと月を見るために頑張ったから。 【伊織、どこだ?】 公園でひとりで月を見てた。 【伊織、月が綺麗だよ】 うん、知ってる。 【伊織、会いたい】 僕も…僕も会いたいよ。 僕は既読をつけないようにメッセージに目を通し、心の中で返事をする。 ピロリン 【伊織、何時になってもいいから連絡くれ】 あっ、既読点いちゃった。 うぅ…龍弥さん…会いたいよ。 でも…気づいてしまったんだ。 僕はあなたに恋してる。 あなたは男、そして僕も。 気持ち悪がられるぐらいなら、もう会わない。 今ならまだ、忘れられる。 あなたが彼女の空気を纏ってるのを感じたくない。 あなたの部屋にも…もう行けない。 きっと彼女と愛し合っただろうから。 【龍弥さん…心配かけてすみませんでした。今までありがとうございました。どうぞお幸せに】 それだけ送信して、龍弥さんにブロックをかけスマホを置いた。
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