満月にバカ…

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「は?なんだこれ…」 伊織…どう言う事だ? こんな急に別れみたいなセリフ… どうしたんだと送信してみる。 あ…ブロックされてる。 伊織…なぜだ? 俺は伊織に何かしたのか? そうだ、部屋に…いや、階しか知らない。 こんな時間じゃ端からピンポンはできない。 伊織…会いたい。 バルコニーへ出てみる。 伊織…君がいないと、俺には月が見えない。 やっと気づいた。 俺は伊織に恋をしている。 君は男で…俺も男だ。 こんなの、どうすればいいんだ? 気持ちを伝えたとしても気持ち悪がられたら? 今ならまだ、この気持ちを消せる? 伊織に彼女ができていたら? 伊織から女の匂いがするなんて耐えられない。 でも…伊織の幸せを願う事はできる。 ならば、このまま会わなければ…いい。 お互いに想いあってる事に気づかない二人。 だって男同士、ノーマル同士だったのだから。 あれから二度、別々に満月を見た二人。 三度目もひとりの満月なのか。 あれからお互いに、忘れる努力をした。 でももう疲れた。会いたい思いばかりが募る。 今日は満月。避けていた公園に足を踏み入れる。 もう 僕の事なんて… 俺の事なんて… 忘れてしまっただろうな。
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