序章

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序章

      代表的な冬の星座は、夜空に三つ並ぶ星がよく目立つオリオン座と答える人が大多数ではなかろうか。  雨の日や雪の日、分厚い雲に覆われた曇天の日には、綺麗に光り耀く星達はその美しい姿を我々人間達に見せてはくれない。  そんな日の星達は、姿を隠して一体何をしているのだろうか。  地上から最高の眺めを堪能してもらうべく、錆び付かないようにと丹念に磨いているのだろうか。  三つ並んだ星のうち一つでも欠けてしまったら、それはもう、オリオン座とは認識してもらえなくなってしまうだろうから、耀きを失わない為の魅せる努力は惜しまないのであろう。  でも、一生懸命になりすぎて、疲れてしまう前に適度に休息させてあげないと、それ等はただの石ころのようになってしまうかもしれない。  それでも、何の変哲もないただの石ころは、宇宙という名の大海原を何億光年と泳ぎ回っているのだ。  それはまるで、広い異空間の中を煌びやかな羽衣が浮遊しているかのように見える美しいオーロラと匹敵するほどに ――――。       
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