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「ああ、まかせとけ。次は絶対に勝って、とびきり高級なワギューをたらふく食わせてやる」
「頼むぜ、エース。おまえもな、レム」
「俺?」
「とぼけた顔しやがって。今日のアシスト、完璧だったぞ。さっきリプレイで見たが、よくあの難しい位置からイーサンを引っ張り上げられたもんだ。あんまり呼吸がぴったりで、おまえら本当にデキてるのかと思ったぜ」
「……バレたか」
「否定しないのかよ」
こりゃいいぜ、と豪快に笑う声につられて、レムも笑う。
何ごとかと視線を向けるチームメイトたちに向かって、ヨハンがワイングラスを突き出した。
「みんなよく聞けよ。今日は惜しくも三位で終わったが、次のレースでは我らが期待のエース、イーサン・ウォーカーが必ず勝利を手にして、俺たちにとびきり美味いワギューをおごってくれるそうだ」
ノルウェー訛りの宣言に、ドッと笑い声が起こる。口笛で囃し立てるチームメイトたちを、ヨハンが手で制した。
「ついでにもうひとつ。今宵、俺たちのエースは愛しいアシストと二人きりの夜を過ごしたいそうだ。おまえたち、酔っ払って部屋に乱入するんじゃねえぞ」
「内側からしっかり鍵をかけておくから大丈夫だ。ああ、でもどうしても俺と二人きりの夜を過ごしたいってやつがいたら、メッセージを送っておいてくれ。時間差で訪ねていくから」
イーサンの言葉に、今度は色めいた歓声が上がる。
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