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「食後のジェラート、おごれよ」 「もちろん。バニラでも苺でもミントでも食べ放題だ」 「そこにチョコチップをくわえたら完璧だな。監督に見つかったら大目玉だ」 「最終日にそれくらいの贅沢しても許されるって」 「監督は良くても、俺の腹回りがそれを許してくれないんだよ」 「ああ、30になると代謝がガクンと落ちるっていうもんな」 「まだ29だ。おまえこそまだ大丈夫だと思っていたら、あっという間なんだからな」 「はいはい先輩、おつかれさま」  ポンポンと背中を叩いて、イーサンの体が離れていく。ようやく緊張がとけてホッとしたところで、レースの後続集団が遅れてフィニッシュラインに入ってきた。 「お、戻ってきた」  汗まみれの男たちの中にチームメイトの姿を見つけて、イーサンが駆け寄っていく。  肩を叩きながらアシストたちを労う眩しい笑顔を眺めながら、イーサンは妙に乾いた口の中に、ドリンクボトルの残りを流しこんだ。
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