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マリネ液のしっかり染みこんだサーモンを口に放りこむレムの向かいで、イーサンが「俺はパスタも好きだけどなあ」と笑った。その言葉どおり、彼の皿には大皿から取り分けたアラビアータがたっぷりと盛りつけてある。
「じゃあ俺の分のパスタをおまえにやるから、チキンは全部こっちに寄こせよ」
「パスタと同じくらいチキンも好きなんだって。ついでにいうと、ビーフはもっともっと好きだ。レム、WAGYUって食ったことあるか?」
「ワギュー?なんだそれ」
「去年、日本のレースに出た時に食ったんだ。こっちの肉とは違って脂がたっぷりのってる。口に入れると、マジでとろけるんだ。SUKIYAKIを食うために俺は今年も必ず日本に行く」
「話だけ聞いていると胸ヤケを起こしそうだな」
「レム、それ、六十間近の俺の親父と同じこと言ってるぞ」
「俺はよく絞れて、脂肪なんてほとんどない赤身の肉が好物なんだよ」
「スプリンターの脚みたいに?」
「ああ、血管がバキバキに浮いているところを見たら、思わずかぶりつきたくなる」
「その言い方、いやらしいな」
「もっといやらしいこと言ってやろうか?」
「言って言って」
「おい、おまえら、人前でイチャつくな」
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