6章. ラストターゲット

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6章. ラストターゲット

〜国際科学研究所〜 紗夜と豊川が、国枝剣城の研究室に入る。 守衛の話では、彼は一度戻り、直ぐに出て行ったということであった。 「遅かったか…」 呟く紗夜。 隠し部屋は、開いたままであった。 「豊川さん、前に撮った写真と見比べて、無くなっているものや変化を探してください」 「分かった」 携帯の写真を開き、一つ一つ確認して行く。 紗夜は彼が戻った理由を考えていた。 (何かを取りに戻った…爆弾、サリン、装置) いずれもあり得るものである。 (誰かに会いに…誰に…研究は誰と?) 目についた内線電話の番号表から、所長室に掛けてみる。 7回待つ。 (まだ代わりはいないか…) 諦めて切ろうとした時。 「今度は何だ? お前は指名ては…い…誰だ?」 「警視庁刑事課の紗夜です。あなたは?」 「くそっ!」 電話が切られた。 紗夜が走る。 「豊川さん、ちょっとここお願い!」 近くにいた女性を掴まえる。 「所長室はどこに?」 「はい?貴女は?」 「いいから、どこなの❗️」 気迫に負けた彼女。 「と、隣の建屋の、な、7階💦」 「隣?ありがと!」 (なんで隣なのよ❗️) 「3階で繋がってま〜す」 走る紗夜に、彼女の親切が届いた。 片手を上げて感謝を伝える。 階段で3階に降りて、渡り廊下を探す。 (あった、間に合って!) 渡り廊下を走る途中、窓から裏の駐車場で、慌てて車に乗る者が見えた。 (逃げられた) 急発進して出て行く車。 電話の相手に間違いはなかった。 観念した時、携帯が鳴った。 「豊川さん、何かあった?」 「ああ、さっき紗夜が見ていた内線番号表だ、紗夜、所長室にかけたのか?」 「なぜ分かるの?」 「何となく…そんな気がしてな」 (まさか!そんな!!) その時。 「ドドーン💥」 激しい爆音で、窓が揺れた。 慌てて、窓から外を見る紗夜。 (やられた❗️) 裏門を出た直ぐの場所で、さっきの車が燃えていた。 国枝の部屋へ戻った紗夜。 内線電話表を見る。 「この表は、この前には無かったやつだ」 「私も思い出しながら、違いを探してて、違和感を感じてこれを見た。そしてこれが気になった。クソッ!」 「何なんだ?紗夜💦」 こんなに悔しがる紗夜は珍しい。 「私達が、ここに来ることは、彼も予想できた。そして、当然前との違いを探すことも。 この字体は、(レイ)ミン体。他は普通の明朝体なのに」 「確かに少し違う気がするが…」 「豊川さんが分かった様に、明朝体の中で1番注意を惹きつける(レイ)ミン体。心理捜査官の私が、心理を利用されたのよ❗️」 「なるほど。それであの爆発が、所長室にいた国枝の協力者ってわけか」 普通に消すこともできたはず。 しかし彼は、警察に屈辱的な方法を持って、彼を消したのである。 「あの爆弾は、多分ある距離で爆発する仕掛けだ。紗夜が追い出さなくても、あと数時間後には、やられていた筈。気にするな」 自分が電話した為に、早く死なせてしまった。 当然ながら、その自責の念はある。 だがそれ以上に、心理捜査官のプライドと自信を傷つけられたショックの方が大きかった。 「紗夜、それからこれだ」 豊川が、写真が貼られた壁に、紗夜を呼んだ。 サリンで死んだ者の顔が消されていた。 「前に見た時は丸で囲ってあったよな」 「そんな❗️」 2人の心配が、現実となった。 慌てて咲に電話をかける。 「どう、何かあった紗夜?」 「咲さん、あなたと美夜さんが危ないの❗️」 「はぁ?あんたまでそんなことを。何言ってんのよ紗夜、全くもう」 「部屋の壁に写真が貼ってあって、前に見た時は、既に死んだ人の顔は塗られてて、サリンで死んだ人は丸で囲ってあったの。今は、その人達の顔は塗られてて…その…」 「紗夜、シッカリしてよ❗️確かに、そんなのがあったわね、何故か私たちまで。剣城君、ちゃんと覚えていてくれたのね」 「すみません。そんなんじゃないんですこの壁は!今は美夜さんが、丸で囲まれてて、次のターゲットは、美夜さんです❗️」 「何ですって⁉️」 瞬間で電話を切る咲。 直ぐに美夜にかける。
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