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〜中国泉州〜
蛇心本部ビルの屋上に、ラブのヘリが降りた。
(最上階が依然の部屋です)
アイからの情報がラブの頭脳に届く。
ヘリのワイヤーを戦闘スーツのベルトに繋ぐ。
軽く走って、柵を飛び越え、反転して壁に垂直に立つ。
(アイ、熱源スキャン)
ラブの目を通じ、アイが内部をスキャンする。
(1人です。下2フロアに日本人女性1人、以下3フロアまでクリア)
(じゃ、行くか)
(ラブ様)
(なに、アイ?)
(おそらく、時間があまりありません)
(……アイ💧)
壁を蹴り、腰からサイレンサーの付いた銃を抜き、超綱弾を連射する。
「バシュバシュバシュバシュバシュ…」
防弾ガラスを円形に貫いた。
その中心を踵で蹴り抜き、中へ入る。
依然の位置からは、離れており、彼女は気付いていない。
「国枝さん、間もなく境界線に到達ですね」
「依然さん、やっと終わります。利用して貰ってどうも。マフィアのボスとして、せいぜい頑張ってください」
「知っていたのですか?」
「もちろん。しかし、マフィアとは言え、実の父と兄を殺させるとは、私には許せないことです。お返しに、仙崎辰巳に死んで貰いました」
「何ですって⁉️」
「恐らく、そこにいたら、雫さんは後を追うでしょう。もしくは、あなたを殺すか、それが日本のヤクザの妻の生き様です。お気をつけて」
通信が切れた。
「思うようには行かないものね」
「誰?」
マスクを取る。
「トーイ・ラブ❗️」
「黒龍会は、飛鳥組とは戦いません。従って、彼らを殺すことは、許さない!」
銃を取り、ラブへ向けた…
が、既にラブは目の前にいた。
引き金に指を差し、撃てない様にして、そのまま腕を捻り上げる。
「クッ!」
銃を奪い、弾を床に抜き落とす。
手を離して依然を突き飛ばした。
「这毫无用处!太晚了(無駄よ!手遅れよ)」
「那个怎么样(それはどうでしょう)」
ラブがシステム端末に手を添える。
両手首に光のリングが現れた。
システムが目まぐるしく動く。
ラブには、触れることで、マシンやシステムと意識レベルでシンクロする特殊能力があった。
(これが解除キーね)
爆破の起動プログラムが、切断された。
「这样的白痴!(そんなバカな!)」
「蛇心はあなたのもの。あの船をどうするかは、よく考えることね。もっとも、船がある以上、今までの取引組織からの要求を、黒龍会なしでどう捌くか、それが問題ね」
それは、絶望的な状況と言える。
「仙崎雫さんは、連れて帰ります。では」
「バシュ!」
麻酔弾を撃ち、部屋を出て行くラブ。
3分後、仙崎雫を乗せて、ヘリが飛び立った。
日本へ。
挿絵:karoさん
https://www.instagram.com/karo_01050105?igsh=MTNrdnlvcDZ0b3VvNg==
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